柳瀬 有希さん
ワールドグループの個性豊かな仲間をリレー形式で紹介するWORLD PEOPLE
「タケオキクチ」阪急メンズ東京店 店長 吉野耕治さんからバトンをつなぐのは、ワールドストアパートナーズ イオンモール伊丹とブルメールHAT 神戸「サンカンシオン」店長 柳瀬 有希さんです。

吉野さんから柳瀬さんへ

コンプレックスの塊から自分らしさを発見
小さいころから、実は今も“人見知りな性格”という柳瀬さん。そんな柳瀬さんは、どのようにしてお客様との最前線に立つドレッサーになったのでしょうか?それではここからは、柳瀬さんの魅力にぐぐっと迫ってまいりましょう。

通知表にはいつも「粘り強い」と書かれていたという柳瀬さんは、ご自分を短距離ランナーではなくジワジワと走り続ける長距離ランナーに例えました。小さい頃、将来なりたい職業を聞かれても特に何になりたいという夢はなく、なんとなくその頃に習っていた「水泳の選手」と答えていた、そんな子供だったそうです。
「自分の一重の目や背が高いことが嫌で、コンプレックスの塊だった」と言う柳瀬さん。 小学校高学年くらいからファッションに興味を持ち始めますが、ばっちり二重の子と同じ洋服を着ても何となく似合わない。ところがあるとき雑誌を見て、一重のモデルの人もたくさん活躍していてかっこいいファッションを着こなしていることに気が付きます。「自分がかわいいと思うものと似合うものは別なんだ。一重も悪くない」。そして、大学生の頃には自分に似合うものが分かってきたそうです。「当時の流行はギャル風スタイル。でも、私にはかわいい系は似合わない、どちらかというとかっこいい系。人と同じは嫌。ヒールは似合わない、ハイブランドにも関心はないと、似合わないもの、好みじゃないものを除いて、自分らしいスタイルを見つけていきました」。
大学生で自分に何が似合うのか分かっていたというのは、その頃からドレッサーの資質ありですね。そして今、35歳頃から顔が変わり始めて、これまでの似合っていたものが変わってきたと言う柳瀬さんは、自分らしい大人スタイルを探しているそうです。
いろんな出会いに導かれてドレッサーに

中学では軽音サークルでボーカルを、大学では日本文学を専攻して樋口一葉の文献を研究していた柳瀬さん。なんとその頃はパンク系のファッションが好きで金髪。社会人になっても自分のスタイルを制限されたくないし、漠然とOLにはなりたくないなと思いながら、とくに目指す夢もなく就職活動を続けていたそうです。そんなとき、普段とは違うキレイ目の洋服が必要になり、初めてのお店に入ります。そのときの販売員さんの応対に感動し、なんとなくこんな仕事もいいなと思うように。そして、また別の日には、旅行先で気に入っていたサングラスを壊してしまい、買いに入ったお店での応対にも感動。こんなことが何度も続き、振り返ると感動したお店はここもそこもワールドだったそうです。「ワールドに入りたい、ここに就職するにはどうしたらいいんだろう」。しかし、人見知りで聞くことが出来ず、一度はお店を出てしまいますが、思い切って戻って販売員のお姉さんに「どうしたらワールドで働けますか?」と尋ねたことがきっかけで、ワールドストアパートナーズに入社します。

2006年に入社し、兵庫県の甲子園球場が目の前にある、ららぽーと甲子園の「サンカンシオン」に配属されました。 パンクでかっこいい系ファッションの柳瀬さんは、こっそりどんなお店かと様子を伺いに行きました。そして、 「サンカンシオン」のかわいいお店と動物や花柄の洋服を見て、「これ、私で大丈夫?」と思ったそうです。すると、中から金髪のお兄さんが現れました。配属された店舗の店長となる現・イオンモール猪名川「シューラルー 」店長 人見順一郎さんでした。「この店長との出会いが、本当によかったんです。ものすごく厳しかったけれど、この店長でなかったら私はここまでやってこれなかったと思います。本当に感謝しています」。そして、10年同じ店舗で働き、その間にサブを経て店長になって、2015年にイオンモール伊丹に異動。昨年の9月からブルメールHAT神戸店の店長も兼務しています。入社から14年、「サンカンシオン」一筋で経験を積んできました。
ワールドグループアワード優秀者部門での表彰
ストレスが多い現代社会では、気持ちがしんどくなる心の風邪は、だれでもがかかりうる可能性があると言われています。店長になった柳瀬さんは、休職から復帰するメンバーを初めて自店で受け入れることになります。戸惑いながらも「復職してよかったと思ってもらいたい。そのためには私に知識があればそっと手を差しのべたり、出来ることがあるんじゃないか」と思ったことがきっかけで、仕事が休みの日にメンタルケアとカウンセリングの学校に通って資格を取ります。そして、知識を得たことで、メンバー同士の理解を深めることが出来るようになりました。その姿勢が、今年度のワールドグループアワード優秀者部門で表彰されました。

「今回、選んでいただいたことは、本当に嬉しく思いました。もっと働きやすい会社になるためのきっかけになればいいなと思う反面、メンバーには内緒で勉強をしていたので、賞をいただくことでこの店舗に休職からの復帰した人がいることが知られるし、メンバーにもプレッシャーになってしまっては元も子もないと悩んみました」。そして、迷うんだったらストレートに聞いてみようと、メンバーに正直な気持ちを伝えました。すると、「店長が表彰されてうれしい。今もしんどい思いをしている人のために、ぜひ、その想いを発信して欲しい」と言ってもらったそうです。

些細な変化に気付き、「しんどい」を言える社会に
今、長引くコロナによる外出自粛や環境の変化による様々な影響への不安からストレスを感じ、「コロナうつ」などの言葉も生まれています。柳瀬さんにこのような状況に、自分自身と周りにどう対処すればいいのか尋ねてみました。
「心がしんどくなる理由は一つじゃない、きっかけは人それぞれなんです。目に見えない分、周りに理解されにくい。『しんどい』『ツライ』といったSOSを単なる愚痴だと受け取られ、伝わらない。それが少しずつ積み重なって、ある日、スイッチが切れてしまう。頑張る人、責任感の強い人は他人に弱音は吐くことは甘えだと思い、家でも家族に頑張っている姿を見せてしまったりするかもしれません。でも、弱音を吐き出してもいい。その後、ゆっくり歩き出せるならそれでいいと思います。

そして、 知識があれば、些細なことでもちょっとした変化に気付くことができます。いつもと違うあの言動や様子にもしかしたらと気付き、声をかけること。
自分自身もそうです。今日は些細なことでイライラする、前にはこんなことは無かったのにちょっとした言葉に落ち込んでしまう。そういうことはありませんか?そんなときにも心身の“バイオリズム”の変化だと知識があれば、今はそういう時期だからと前もって対応できます。自分にあった対処法は人それぞれですが、何か変化が起こったら、対処することが出来るようになります。
心の病のことを、熱が出たり風邪に罹ったのと同じくらいオープンに会話ができる社会になればいいなと思っています。『今日、しんどいです』『大丈夫?そうか、じゃあ、私やるね』と、そんなお互いが本音を言い合い、信頼しあえ、補い合える環境が当たり前になればと思っています」。
そうか、皆さん、我慢していませんか?
ファッションは心を満たす必要不可欠なもの
緊急事態宣言が緩和され、少しずつですがコロナの収束が見えてきましたが、まだまだ予断を許さない状況が続きます。お店が休業の「Stay at home」の中で、柳瀬さんが感じたこと、ファッションのチカラ、ファッションが出来ることは何かをうかがいました。

「自粛が続く中、おしゃれは生活必需品ではないかもしれません。しかし、インスタグラムなどでは、お家でのファッションを楽しむ投稿もたくさん見られます。家で過ごす部屋着も、やっぱり、おしゃれで着心地がいいお気に入りを選ぶとリラックスして落ち着く。おしゃれが無くても生きていけるけれど、ファッションは着る人の感情を高ぶらせ、自分自身を笑顔にして輝かせるものだと思います。ファッションは、外出できなくて人に見せなくても、自分自身の心を満たす、必要不可欠なものだなと改めて感じました。そして、私が携わる、サンカンシオン、ハッシュアッシュはゆったりと着心地がよくておしゃれ。「Stay at home」にぴったりなブランドだと思います」。


お店が再開して、アフターコロナに思うこと

そして、新型コロナウイルス感染拡大の影響に伴い臨時休業していた イオンモール伊丹が、本日5月18日(月)から営業を再開しました。お店に立った柳瀬さんに今の気持ち、そして、アフターコロナに何かこれまでと違ったことを感じているのかを伺いました。
「世界が、人類が初めて体験している新型コロナウイルスの影響で、前年比較もできないし、また、2020年と来年の比較も難しくなると思います。今まで基準としてきたことが、基準では無くなる。誰も何が正解かわからない。例えば、オンラインでの買い物は浸透していますが、やはり友達とリアルでショッピングするときのワクワクや、友達や店員さんとおしゃべりしながら、「それいいんじゃない?」と言ってくれる一押しが足りない。そして、オンラインでもクローゼットにある服とのコーディネートを提案してくれたりするサービス。デジタルの力でそんなリモートショッピングが出来たら面白いと思います。今だからこそ、社長とか社員とか新人とかバイトだからとか立場は関係なく、これまでやってみたい、こんなことができたらいいなと思いながらストックしていたアイデアをどんどん放出していき、小さなことでも恐れずやってみる機会なのではないかと思います」。

ソーシャルディスタンスで距離を取って撮影。
自分に限界を作らず、新しい世界に挑戦したい
「Stay at home」中は、趣味のギターを弾いたり、オンラインヨガでカラダを整え、好きなアロマの香りでリラックスしたりして過ごしていたそうです。ギターで練習している曲は中島みゆきさんの「糸」だそう。学生時代の偶然にワールドのお店との出会いがあり、配属された店舗での金髪の店長との出会いがドレッサーとしての自信につながり、そして、心のケアの学び、新型コロナウイルスでの休業など、まさに縦の糸と横の糸が織りなされた、これまでの柳瀬さんのあゆみにぴったりな曲です。

そして、これからに向けては、今までやってみたいと思いながら出来なかったことを40歳を迎えるまでに挑戦し、いろんな新しい世界を経験し、新しい自分を発見したいという気持ちでいっぱいだそうです。「自分自身で限界を作るのではなく、可能性を広げ、いろんな経験を仕事にもつなげて、かっこいい、深みのある大人の女性を目指したい」と、一つひとつの言葉を噛みしめながら、力強く話してくれました。
さあ、グループ内の「スゴイ人リレー」、次は誰の手にバトンが渡るのでしょうか。みなさんのまわりのスゴイ人もぜひ編集局に教えてください。自薦他薦は問いません。次回もお楽しみに!
※このインタビューは、全国に緊急事態宣言が発令されていたため、電話で行いました。新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、臨時休業していましたが、緊急事態宣言の大幅な解除により、イオンモール伊丹「サンカンシオン」は、本日、5月18日(月)から営業を再開しました。一部の写真は本日、撮影しています。






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