株式会社 ワールドプロダクションパートナーズ
~産学連携で次世代につなぐ~

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ワールドプロダクションパートナーズ(以降WP2)が2019年春から始めた産学連携は、杉野服飾大学の3年生 ファッションビジネス・マネジメントコースを対象に、1年を通して30回の授業と実習を行うものです。今回MOVING編集局は、20年度後期に実施した“ワールドプロダクションパートナーズ×ティンパンアレイ×杉野服飾大学”のトライアングルプロジェクトを追いかけました。

サステナビリティが社会の主なテーマとなりつつある中で、「つくる」ことがゴールではなく、素材となる廃棄商品の仕分け、リメイクで再生、自身で販売する体験を通じて「感じた事」「気付いた事」から環境適応型のファッションビジネスモデルを創造することを目的にした取組みです。

学生たちの新鮮なアイデアを共に形に
(株)ワールドプロダクションパートナーズ SCM第1部 生産管理1課 石井 美加さん

ワールド北青山ビル4Fで、リメイク加工をした1点物を前に

インダ岡山(ワールドインダストリーファブリック 岡山技術研究所)に入社して、これまでサンプル作成を中心に縫製に携わってきました。昨年4月から東京勤務となり、ブランドと工場の間に入り1点サンプルのやりとりをはじめ、海外の工場との直貿(直接貿易)における技術指導を行っています。その傍らサステナビリティをテーマにしたWP2のオリジナルブランド「ビーリリースト(be released)」のものづくりや今回の産学連携にも入っています。これまで手掛けていたのは量産型のサンプルや縫製でしたので、リメイクやアップサイクルはほぼ1点物で、さらにデザインを効かせた見せる服作りと、既製服とは異なりますが、学生たちから想像も付かないアイデアが上がって来るなど新鮮な取り組みになりました。

リメイク実習は、コンセプト・テーマ選定に次いでデザイン画を出してもらう所から始まり、その後学生たちと一緒に国立の「ラグタグ」の倉庫で素材選びを行いました。その後、ワールド北青山ビルでデザインに対して使う素材選びや、地下の“クリエーターズラボ”で縫製を行い仕上げていきました。シャツやカットソーのドッキング、またパンツの裾など異なるパーツの組み合わせからなるデザインは、きれいにおさめるだけでなく、シルエットやバランスを見ながらの縫製で学生にとっては困難でしたが、実際に店頭に並べて販売している笑顔の学生たちを見ると手掛けて良かったと思いますし、学生も何かを得てくれたと感じています。今後は、杉野服飾大学と同系列のドレスメーカー学院からインターンシップの受け入れも行い、自分の技術を少しでも活かした継続できる取組みとして一緒に創り上げて行ければと思います。

左)デザイン画と照らし合わせて使う素材を決めていく 右)異素材の組み合わせなど難易度が高かった縫製を指導

左)学校での授業の様子 右)“クリエーターズラボ”で縫製をする杉野の学生たち

アップサイクル企画の実習について

「ラグタグ」の倉庫で、価格が付かずに廃棄される商品から、学生たちの感性でデザインを組み合わせもう一度「服」として再生させる実習です。 実施前には、ティンパンアレイから二次流通市場や「ラグタグ」の品質維持の為の取組み、環境保全への貢献性、ビジネスとしての成長性についての講義を踏まえ、テーマ出しとコンセプトやストーリーを立案し古着のリメイクに入りました。また、販売に際しては「ラグタグ」渋谷、原宿それぞれの店頭でお客様の応対や商品のディスプレイ、品出しまでの実習も行いました。

◆10月27日(火) 「ラグタグ」 国立の倉庫で体験学習と素材選び

「ラグタグ」スタッフから倉庫が担う機能や入荷した商品の流れを聞いた後、どうしても価格が付かなかった余剰在庫から商品をセレクト。

◆11月10日(火) ワールド北青山ビルでデザイン画のチェックと使用する素材やパーツを決定

グループ毎にテーマを決めたデザイン画に、どの素材を組み合わせるか検討。

◆11月24日(火)、12月1日(火) ワールド北青山ビルで縫製

“クリエーターズラボ”で、WP2の指導を受けながら縫製。
途中で何度もトルソーに着せ、皆で細かくバランスを見ながら仕立てていきました。
 ※画像には共に“クリエーターズラボ”で実習を行ったドレスメーカー学院の学生の様子も。

店舗運営研究では、「ラグタグ」で縫製した商品を販売

12月8日(火) 左)ラグタグ原宿店(チームB) 右)ラグタグ渋谷店(チームD)
「初日からお客様にお買い上げいただいて、嬉しかった。アップサイクルに込めた思いを伝えたい」

12月15日(火) 左)ラグタグ原宿店(チームC) 右)ラグタグ渋谷店(チームA)
「店舗での販売についても学べ、お客様と直接触れ合えるのは楽しい」

1月末には、今年度の産学連携と店舗運営研究の振返りをグループ毎にまとめて発表し、
総括する授業を行います。

学生が最初に描いたリメイク企画のデザイン画。

次世代に伝えることで、業界そのものの価値を高められる
(株)ワールドプロダクションパートナーズ 社長 大峯 伊索さん

ファッションビジネスの本質と魅力を伝えたいと自ら教壇にも

2019年春からこの産学連携を始め、2年目が終わろうとしています。企業が授業をしたり、学生とコラボした商品を販売する取組みは多数ありますが、WP2が持つノウハウと多彩なプロフェショナル人材、また作り場を活かしながら、ファッションビジネスのあり方そのものを伝える、本質的な産学連携を目指しています。
学生は自由な発想と多彩なアイデアを持っているものの、業務経験がなく創造に限りがある中で、企業と共に取り組むと更に可能性が伸ばせ、バーチャルではない実践を踏まえたプログラムになります。
また、服が好きでアパレルを目指す学生たちに、ファッションビジネスに共鳴してもらい、心から理解をした上で我々の業界を目指して欲しいという思いも込めています。たとえば二次流通の現場に行き目で見て選び、廃棄商品を蘇らせるという視点はもちろん、既製服をバラして、デザインして組み立てる、その工程を体感することに意味があります。そして、店頭での販売。厳しさや難しさも伝えることで、ファッション業界を目指して学ぶ学生たちの大切な将来に間違いの無い選択をして欲しいと考えています。取組みを進める中で、初年度参加した学生の中から、ワールドグループへの内定も決まったのは嬉しい事です。
昨年はWP2にとって、医療用ガウンの生産に加えて、オリジナルブランド「WORLD for the World」からマスクの販売をするなど、コロナ禍においてどんどん新たな事にチャレンジした年でした。この産学連携の取組みも、変わりゆく時代に即したプログラムとして、学校と共に進化させていきたいと考えています。

――― MOVINGでは今後もこの取組みをレポートしていきます!

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