卒業とスタート
今回は、伊原が担当します。
早いものであっという間に3月。
3月といえば、別れの季節。卒業式のシーズンです。音楽とともに思い出が蘇るという方も多いと思いますが、「卒業ソング」って、結構世代が出ますね。
というわけで、ちょっと時代を遡ってみましょう。
まずは王道中の王道。荒井由実(※)さんの「卒業写真」。
※Z世代の方は知らない方もおそらく多いですね。「荒井由実=松任谷由実」。ユーミンこと松任谷由実さんのご結婚前のお名前です。
こちらは、1975年、当時21歳のユーミンがリリースしたアルバム『COBALT BLUE』収録のナンバーなのですが、色褪せません。色褪せないどころか、年々シンプルなこの曲の歌詞とメロディが身にしみます。
ちなみに、この曲は日本で最もカヴァーされた曲のひとつでもありまして、ざっと数えてもその数30以上。オリジナルのすばらしさはもちろんですが、聴き比べてもみるのもおすすめです。
続いては、1990年代。
数ある中でも代表曲は槇原敬之さんの「遠く遠く」あたりでしょうか。
1992年リリース。リリースしてからおよそ30年が経っているという事実にクラクラしますが、これまた今なお歌い継がれる名曲。故郷から遠く、学生時代を過ごした場所からも離れ、社会人になって数年目という設定。
この曲は特に歌詞が刺さりますね。イントロ無しの歌い出しがサビというのもぐっとくるポイント。一気に気持ちが持っていかれます。
続く00年代は、もはや国民的卒業ソングの森山直太朗さんの「さくら」をはじめ、名曲揃いなのですが、その中から1曲。
レミオロメンの「3月9日」。
卒業式の定番ですね。PVの堀北真希さん(当時15歳)のピュアな美しさにも心奪われます。この曲で歌われる「瞳を閉じればあなたが、まぶたの裏にいることで、どれほど強くなれたでしょう。あなたにとって私もそうでありたい」という歌詞に、大切な誰かを想い、気持ちを支えられた人も多いと思います。
余談ですが「さくら」も「3月9日」ももともとは結婚式のために書き下ろした曲なのだそうです。人生の大きな節目である独身からの卒業、そして、新たな始まりを祝う歌ということですね。
さて、2010年代の中から1曲。
2018年、卒業式からはるか遠くまできた私ですら涙したのがRADWIMPSの「正解」。
これはNHKが主催する「18祭」で生まれた曲です。1組のアーティストと1,000人の18歳世代が共に1回かぎりのパフォーマンスをするこのイベント。
このイベントのドキュメンタリーがまた、素晴らしい。
18歳、みなさんはどんな日々でしたか?毎日がキラキラしていたように思うけど、一方でいろんなことに悩み、もがいていた季節でもあると思います。
そして、それは大人になった今、悩みの種類が変われど、「もがく」ということがなくなったわけではなく本質的には変わらなかったりします。それでも自分なりの「正解」を求めて考え抜いて、未来を想い、決断をして、進んでいく。
18歳の頃も、今も、きっとこの先も、その繰り返し。
だからこそ、「よーい、はじめ」で終わるこの曲には、いつも勇気をもらいます。
冒頭で、3月は別れの季節と書きましたが、別れの季節であると同時に始まりの季節。
誰にでも、春は必ず来ます。
区切りをつけて、新しい一歩を踏み出すのは、必ずしも卒業生だけではないと思います。
むしろ大人になってからは、物理的な「卒業」がない分、自分自身で「卒業」と「スタート」を決断して進んでいかなければいけないので、そんな時に歌は気持ちを後押しするきっかけのひとつになるかもしれません。
自分の心に寄り添う「卒業=スタート」の曲を聴きながら、春に向けて気持ちをリフレッシュ。そしてその時ファッションは、新しい季節を迎える“希望”を後押しするものだと思っています。
では、今回も最後に1曲。
私にとっての最強卒業&スタートソングをご紹介しましょう。
THE BLUE HEARTSで「TRAIN-TRAIN」
さて、次回のナビゲーターは、アベタカさんこと阿部孝史さんです。
どうぞ、お楽しみに。






コメントはこちらまで