絵本の記憶

好き

阿部 あゆ子です。

懐かしい絵本のタイトルについて書きます。

――新聞の情報欄の「生誕111年 赤羽末吉展 スーホの草原にかける虹」が目に留まりました。
多くの方もそうであったように、子どものころに読んだ絵本は強烈な記憶を残します。

私の場合は子どもには感情が処理できないような、未知の物語に興味を持ち、何度も読んでいた。
『スーホの白い馬』はその中でも、なんともいえない感情になったもののひとつ。
今の私では考えられませんが、ぐりとぐらのパンケーキが美味しそうと感じる子どもではなかったのです。

――銀座の教文館。表は街並みに馴染んでいるのに、中は重厚な昭和初期の建築。

展示されている絵画はどれもが詩情豊か(写真はビル1Fのウインドウ)。
時が止まったようなクラシックなビルの内観。展示を見終わったあとは階段でゆっくり降りる。
松屋通り側から上をみあげて。

――名前が思い出せない絵本の検索は難しく、音楽は鼻歌検索(成功したことはない)があるけれど、

子どもの曖昧な記憶ではなかなか出てこない。

そんな時たとえば「あの本なんだっけ?すいか、海、どうぶつ」と母に聞くと
「はんぶんちょうだいでしょ」と呆気なく返って来ます。

国語の教師をしていた母は私の読書感想文によく手直しをしました。最も覚えているのはモモの感想文の最後に

「なぜなら、私には時間がたっぷりあるから」と書き添えたこと。
当時の私にそんな感想はまるでなく、ものすごい嫌悪感だった。

でも、今はおんなじ事を考える大人になってしまった。
とても長い物語だと思っていた絵本を、数分で読んでしまう自分の忙しなさにも驚く。

コロナ禍で用心し出歩かなくなった両親に、今回の展覧会に行った葉書を書きました。

感謝する時間は大事だと感じる。
もうすぐ、父の日。

「生誕111年 赤羽末吉展 スーホの草原にかける虹」は6月30日(水)まで。

次回は石平 賢太朗さんが書きます。

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