あの人のB面 Vol.14 小川 潮さん 

好き

ワールドグループで名前だけ耳にしたことがある“あの人”の、普段目にすることができないプライベートの部分や、これまでの人生について掘り下げていく「あの人のB面」。今回はグループ執行役員でワールド グループ企画本部 本部長、ワールドインベストメントネットワーク 共同代表、神戸レザークロス 社長を務める小川潮さんです。

プロフィール)
おがわうしお/1973年10月生まれ。法政大学経営学部を卒業後、東京国税局に入局。その後、外資系コンサルティング会社、ウェブやエンターテインメントの制作会社、EC・TC支援企業、アパレルODM企業、PEファンド、さらにお菓子の製造販売会社まで、多岐に亘るキャリアを経て、2019年1月にワールドに入社。現在はグループ執行役員、グループ企画本部 本部長、ワールドインベストメントネットワーク 共同代表、神戸レザークロス 社長として活躍。

一言で言うと「よろず屋」かもしれません。

小川さん、本日はよろしくお願いいたします!まずは現在の所属部署と業務内容について教えてください。

現在はグループ執行役員グループ企画本部 本部長ワールドインベストメントネットワーク 共同代表神戸レザークロス 社長として、様々な業務に携わっています。

まずは、グループ企画本部としての業務はどのようなことをされているのでしょうか。

一番のメインは事業のマネジメント。計画策定、運営、コントロールが主なミッションです。あとは経営会議等をはじめとした全社的な会議の運営も担います。加えて、比較的特殊な業務を拾っていく部署でもあります。例えば、M&A案件の推進や、案件が発生した時点では業務の所管がつけられないようなものなど…。ですので、業務範囲は多岐に亘りますね。

…となると、よろず屋的な? しかも、口外できないことが多そうですね。

確かによろず屋的な一面はあるかもしれません(笑)。案件に関して言うと、情報の管理は非常に重要です。誰に、いつ、どのタイミングで情報を提供したのか。どの会議に誰が出ていて、どこまで把握されているのかということは常に頭に入れています。

なるほど。だから会議の管理もするのですね。

そうですね。上場企業同士が絡むようなM&A案件だと関わる人それぞれとNDA(秘密保持契約)を結ぶ必要もあります。情報が洩れるとインサイダーにあたるので、とにかく管理は徹底しなければならないし、チームのメンバーの中でなんとかしなければいけないということはありますね。

ワールドインベストメントネットワーク(以下、WIN)では、具体的にはどんなことをしているのでしょうか。

WINは、中間持株会社で既存事業の改革・支援を担っています。バリューアップ推進室というのがあって、経験を積んだ各領域のスペシャリストの方々に参画いただいて、その方々のスキルで事業の価値をあげていく、ということをしています。インターキューブやアダバット、さらにM&Aでグループにジョインした企業やワールドとDBJが投資したファンドが出資した企業があります。継続的に利益をあげられるところまで持っていくのが仕事なので、総合格闘技的なスキルが求められます。

総合格闘技ですか!

そうそう、総合格闘技。問題点はどこにあるのか探して、どうしたら解決できるのかを考えて、社内外のリソースを把握した上で相談、確保した上で実行して利益を上げられるようにしていく。ひとつのスキルに特化しているだけでは結果は出せないし、結果を出せないとWINの存在意義はありません。少数先鋭のメンバーで経験とスキルをベースとした総合力が求められるので大変ですが、非常にやりがいがあって面白い仕事です。

もはやアベンジャーズのようです。。最後、神戸レザークロスについて教えていただけますか?

靴製品、資材・ラストの製造販売等、靴に関してほぼ全てのバリューチェーンを持っている面白い会社です。90年代後半から2000年代の厚底ブームで渋谷109のカリスマ店員から火がついて、当時は商品が入ったそばから飛ぶように売れていたのですが、その後時代の変化と共に業績が厳しくなりました。ワールドグループには2019年に入りましたが、直後にコロナ禍に突入。厳しい状態は続きましたが、メンバーのみんなが頑張ってくれてかなり戻ってきました。計画達成まであと一歩というところまで来ています。

メンバーのお話をする時、表情がぐっと和らぎますね。

みんなあっての仕事なので。中核になっているのは30代から40代前半のメンバーで、感性も機動力もある。お客様の層に近い方が店舗にも本部にもいるのはいいですよね。あと、ものづくりの技術力が高いので、他の靴メーカーさんができないことの駆け込み寺にもなっているんです。例えば、コレクションブランドから直接お仕事がきたり、相談を頂いたりということもあります。名前は明かせないけど、最近いけてるよねというコレクションブランドの靴を手掛けていたりします。

最近いけてるコレクションブランド。き、気になります。。

言えないんですけど(笑)。コレクションのランウェイ映像をみながら、「あ、これうちでやったやつですよ」なんてこともあったりして。中に入ってみると「こんなこともできるんだ」ということがたくさんある。そういう面も含めてもっとアピールしていきたいですね。

学生時代はダブルスクールで学びつつ、意外な一面も

学生時代はどんな生活をおくっていましたか?

学生の頃は、大学と専門学校のダブルスクールでした。会計士の資格を取りたかったんです。自分のキャリアパスは結構昔から考えていて、高校生くらいの頃から事業会社の財務など、数字周りの責任者をやれるようになりたいと思っていました。どうやったらそこにたどりつけるのかを考えて、大学の学部を選び、専門学校に通って勉強をしていました。

すばらしい。真面目な学生だったんですね。

いや、それがそうでもなくて。机に長時間向かうのは苦手なんです。基本的には短期集中でやって、後は遊んでいるタイプなので。でも、義務感と責任感でとにかくやりきることには強いかもしれません。できるかぎりパフォーマンスを落とさず、淡々と。あと、大学生の頃から車が好きだったので、よくドライブしていました。当時は親の車を借りて、夜のうちに外房あたりまでいって、まだ夜が明けないうちから遊んで、昼間に帰ってくる感じです。

朝帰り。結構、意外です(笑)。

あと、よく意外って言われるのは、髪が長かったんですよね。

え⁉ それはいわゆるロン毛?

はい、ロングヘアを後ろで縛っていました。1年生の頃から伸ばしていて、大学時代はずっと長かったんですよ。その頃はファッションも、足元はブーツとブーツカットのデニムで。そんな雰囲気なのに、専門学校の最前列で一生懸命勉強してて、授業終わるとまじめに質問に行ったりして。まあ、ギャップがあってシュールでした(笑)。

今の雰囲気からは、全く想像がつきませんね。

ですよね。会計士の試験は4年生の時に残念ながら落ちてしまったのですが、一方で公務員試験の一次の筆記は通ったんです。で、二次の面接を前に髪を切りました。さすがにこのままで公務員試験の面接はまずいと思ってバッサリと。だから受験票の写真は髪が長いんですよ(笑)。で、いざ面接室に入るじゃないですか。その瞬間、面接官にニヤッと笑われて。「よし、もらったな」って確信しました(笑)。

「こいつ本気だしてきたな」と。作戦勝ちですね(笑)。

おかげさまで面接は世間話で終わって、無事に二次も通りました。

長かった髪をバッサリ切って、マルサへ

社会人になってからのキャリアが非常に多彩ですが、最初のキャリアは…

東京国税局に入局して、調査官の職に就きます。いわゆるマルサですね。

「マルサの女」のマルサですね。調査官というと脱税を調べあげていく役割ですよね。

社会人早々、様々な経験をしました。4年半やっていたのですが、まぁ、とにかくいろいろありました…。普通に仕事をしていて命の危険を感じることってあんまりないと思うのですが、そういうのを感じたことがあります。

命の危険…。想像できないほどのハードな経験だと思いますが、その経験から得たことは?

まず、ちょっとやそっとのことでは焦らなくなりますし、だいたいのことは「なんとかなる」と思えるようにもなりました。どんなことがあっても比較的淡々としていられるのは当時の経験があるからかもしれません。
仕事的には、数字の嗅覚が身につきました。なにせ脱税を探すのが仕事なので。あと、税金を取る側の考え方や進め方、整理の仕方を理解したのは大きいですね。その先どこにいっても役に立つだろうと思っていたし。ひととおり調査の仕事を覚えて、組織のベースの考え方がわかってきたので、予定通り次のキャリアへと進みました。

多様なキャリアの旅へ

次は外資系のコンサルティング・ファームですね。

アンダーセン・コンサルティング(現アクセンチュア)ですね。会計系はもともとやりたかったことだし、それに加えて、これからはシステムをやらないとまずいとも思っていたのでこちらに転職をしました。最初は官公庁のコンサル担当で、プロジェクトに入ってがっつりと仕事をしていました。

もともと中の人ですから、仕組みがわかっているので強いですね。

新たなシステムの設計・構築やプロジェクトマネジメントなどに携わりました。現場の仕事の動きを知っているので、ニーズを踏まえながら具体的に進められました。その後、半導体や通信の業態に移籍して、そこで一緒だったのが現ワールド社長の鈴木さんです。僕のほうが年齢は一つ上なのですが、前のキャリアがあるので会社の年次は鈴木さんが先輩で。当時からキレッキレでしたね。お互い20代だったのですが、その20年後にワールドで再び一緒に仕事をすることになるとは、露ほども思ってなかったですね(笑)。

その後、次なるキャリアに向かいますね。

ちょうど30歳になる年で、もともとやりたいと思っていた事業会社に転職しました。ソフトバンクグループの「ビー・ビー・ケーブル」という会社で、経営企画の仕事に就きました。今、ネットフリックスをはじめ様々な動画配信サービスがありますが、あれを2004年当時にサービスとして提供しようとして、立ち上げたんですよね。

早いですね。今から20年近く前になります。

社内はぶっとんでました。尖った技術系のメンバーと感性豊かな映画業界のコンテンツ系のメンバーが混在していて、カオスで不思議な会社でした。僕は経営企画だったので事業計画を立てたり、サービス企画やプロジェクトマネージャーをやっていました。ただ、入社直後に個人情報漏洩の事故がおきまして、グループ内の別会社に事業移管をすることになり、その担当にもなったんですよね

入社早々、またもやハードな状況に。

まわりはサービスを立ち上げるために頑張っていて、みんなと一緒にやりながら、その一方でグループ内の事業会社と事業移管に向けてガチの交渉をしているという状況でした。結果、半年後に移管が完了したのですが、そもそもやりたいと思っていた仕事がその会社ではなくなってしまったので、次なる職場へ。

東京国税局→外資系コンサルティング・ファーム→動画配信サービス→そして、次は?

次はウェブの制作会社で、当時最大手のIMJという会社へ転職しました。ここは当時ウェブの制作とモバイルと映画製作の三本柱をやっていました。ヘラクレスに上場していて、そこの経営企画室長として入りました。

こちらでは、どんな業務を?

この会社は当時「NaNa」や「黄泉がえり」などをはじめ年間10本以上の映画を制作していましたが、僕自身は映画の制作ではなく、グループの経営企画でした。経営企画の中に経理財務もあったのですが、入社して2か月後に経理マネージャーが派遣スタッフ1名を残して辞めてしまって、その仕事も全部やることに。

経理の経験は、ここまでのところないですよね?

経理の実務経験はゼロなので当然できないのですが、上場企業なので開示しないといけない。でも経理はいない。なので、やりました。何をしたらいいのかすらわからなかったので、本当にゼロから。ひとつひとつ覚えつつ、業務改善しつつ、上場会社の経理を一通りやりました。一人で100ページ以上の有価証券報告書を書いたりしていましたね。

え、それ俺がやるの? ってなったりしないんですか?

そういうふうには考えないですね。だって、上場企業で経理がいなかったら誰かがやるしかないので。大変ですが、そこは淡々と。

「無理です…」と言う人も多いのでは?

物理的に絶対に無理だったらそう言うけれど、基本的には無理なことはあまりないと思っているんですよね。100%の答えは出せないかもしれないけど、少なくとも近づけるためにベストは尽くします。どうやったらできるかということをぎりぎりまで考えて、あとはとにかくはじめちゃう。やりはじめないとどこに問題が潜んでいるかわからないし、無理とも言えないので。やってみて掘り下げないと納得がいかないんでしょうね。何事もやってみないとわからない

まずはやってみるというスタンスだから、経験が拡がるんですね。

確かにそうですね。経験は必ず血肉になりますし。当時は寝る時間も惜しんでいて、家にも帰れず会社で椅子を並べて仮眠を取っていたくらいです。ランナーズハイみたいな状態で、仕事のことが頭から離れる瞬間はなかった。さすがに身体も悲鳴を上げていて…。今だったら労務的に完全にアウトですね。心の底からおすすめしません。

ランナーズハイの2年間を経て、次は意外なところへ転職されますね。

「ステラおばさんのクッキー」の会社に行きました。当時32歳で、その年で経営者になれる会社はあまりなかったのですが、ファンドが持っている立て直し中の会社だったら可能性があるとのことで、ファンドメンバーとしてこちらに。最初からCFOとしてジョインさせていただきました。たくさん試食をして、ぱんぱんになりましたね~。15kg増えました(笑)。

寝食を忘れていた2年間の後なので、それを聞いてちょっと安心しました…。

管理部門を見ながら生産部門長もやっていたので(笑)。個人的に一番好きなコーンフレークのクッキーがあるのですが、ある時、親会社が作っているこれまでと違うコーンフレークを使うよう指示されて。でも、味も食感も変わってしまうので断ったらすごく怒られました(笑)。それでも、大切なお客様が納得されないものをこちらの都合で変えることは容認できない

コーンフレークのクッキー、大好きです! あの味とサクサクの食感を守ってくれていたんですね。

お客様ファースト、ですから。ここでは実務としても経営者としてもいい経験をしました。会社の未来を見据えて打ち手を考えて実行する。充実していましたね。

そして、ワールドの一つ前のキャリアへと進みます。

ファッションのEコマースの裏側をやっているBBFという会社へいきました。ファッションブランド向けのEC構築・運用支援、マーケティング支援、TVショッピング営業支援をやっている会社でCFOとしてジョインしました。

ついにファッションとの接点が!

そうですね、ウェブの世界に戻って、初めてファッションの事業と自分の接点が出てきました。今から10年前くらいのことです。この会社にいた頃に、鈴木さんからお声がけをいただいたんです。

どうしてワールドにジョインしようと思ったのでしょうか。

すごいなと思ったのが、プラットフォーム構想です。実は、前の会社でやりたいと思っていたんです。ECやTVショッピングのオペレーション機能や、グループのODM会社の企画、生産機能を使ってもらえれば、もっと伸びる会社もあるのにと常々思っていました。でも、ワールドには自分が考えていることの遥か先を行っている人たちがいて、すでに始めている。ここならそれが実現できるんだと思いました。

各ソリューションに対してプロフェッショナルがいるのが、ワールドのプラットフォームの強みですね。

それも非常に高いレベルであることは、入社してからあらためて感じました。

好きなものにはとことんこだわる、愛好家の一面も。

非常にお忙しい日々ですが、お休みの日はどう過ごしているのでしょうか。

ドライブに行ったりしますね。昔から車好きでずっと2台持っています。1台はプジョー 106、もう1台はロータス エリーゼで、どちらも20年以上乗っています。軽いので扱いやすいんですよ。両方合わせても1.5tくらい。手で押せます。プジョーのほうは、当時日本に200台くらいしか入ってこなかったので結構貴重で。今は生産していないので、メンテナンスをしながら大切に乗っています。20代の頃には愛好家の集まりも企画しました。

プジョー 106愛好家の集まり。後ろに同じ車がずらりと並ぶ姿は圧巻! 小川さんは2列目の一番右です。

遠出もするのでしょうか?

普段は街乗り中心ですが、たまに家族みんなで伊豆や富士山あたりに行きますね。1泊してゆっくりと過ごすこともあります。

やさしいお父さんの顔。お子様のカラフルなアウターにも車のプリントが♥

あと、最近は子供が所属する少年野球チームでコーチをやっています。やり始めて1年くらいですが、息子だけでなく子供たちみんながうまくなっていくのをみるのは面白いですよね。やれることが増えて成長していく姿をみると嬉しくなります。

小学校のグラウンドで練習試合。土日のどちらかは練習に参加していることが多いのだとか。

ソフトでやさしいコーチのイメージです。

いやいや、結構厳しいかも。怖いってよく言われます(笑)。男の子たちは集まると楽しくなってついギャーギャーしちゃうので、よく声を張り上げてますよ。子供であっても規律は守らないと。だめなものはだめということは、こんこんとやりますね、もちろん愛情を伝えながら。

やっちゃえ、WORLD

それでは最後に、ワールドグループのみなさんに向けて一言、お願いいたします!

ワールドのメンバーは、みなさんすごく優秀だと思います。真面目な方が多いですし。だからこそ、もっとくだけてもいい。そのためにみんなが好きなことをやれる環境をつくらないと、と思っています。環境は徐々に整ってきたので、ここからはみなさんがその環境を使い倒すフェーズです。「こんなことやっていいんだろうか」なんて考えずに、まずはやっちゃえばいい。やっても怒られないし、失敗したら謝ればいい。僕らが責任を取るまでです。いくらでもバックアップはするから、全力でやってもらえる人が一人でも二人でも出てきてくれたら、本当に嬉しいなぁ。僕は自分が関わることで関わった人たちのHAPPYの総量を増やしたいと思っていて、ワールドに来たのはこの会社ならそれが実現できると思ったからなんです。それだけのポテンシャルを持っている会社です。なので、あらためてプライドを持って、一緒に盛り立てていきましょう。次のアパレル業界をつくっていける会社ですし、そのことを実現するためにみなさんの力をこれからもたくさん貸してください。一緒に頑張っていきましょう!

小川さん、本日はありがとうございました!

取材を終えて

小川さんのお話を伺いながら一番心に残ったのは、逃げずに何事もやり遂げていく強さです。キャリアを重ねる中で様々なハードな場面に出合っても、甘えや言い訳は一切なく、先を見据えながら今やるべきことを着実に淡々と進めて結果を出していく。まるでアスリートのようです。それでいて佇まいは親しみやすく柔和な雰囲気。最後にワールドスタッフへのメッセージを語る時の笑顔には愛情と信頼があふれていました。だから、私たちもチャレンジしましょう。その経験はきっと私たちを、そしてワールドグループをより強くしてくれるはずです。

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