ー アスプルンド 前編 ー 衣・食・住・遊、あらゆるジャンルの空間づくりをワンストップで

今月のOUR TEAMは(株)アスプルンド。1991年の創立時は、家具・雑貨の輸入卸とOEMを主に、オリジナル家具の企画開発を加えて成長をしてきました。昨年ワールドスペースソリューションズ(現:ワールドプラットフォームサービス)の建装部を統合し、グループのリソースを掛け合わせ取り引きを広げています。前編は建装部、オフィス部、コントラクト部にアスプルンドならではパブリックな場における空間創造について伺いました。
アスプルンド 全体図

☑ お客様の「こんなことをしたい!」を、部署を横断しながら一気通貫で実現 | |
☑ 空間創造のチャネルは商業施設・オフィス・ホテルからボールパークまで いたるところにアスプルンドのショールームが | |
☑ パブリックスペースは、機能重視から余白と楽しみのある「商業施設化」へ | |
―――まずはそれぞれの担当されている業務について教えてください
佐々木:コントラクト事業として、商業施設を中心にオリジナル家具の提案から特注の納品まで一気通貫で対応しています。メインで取り扱うのは国内に在庫を持つカタログ掲載の商品で、先方様に提案をしながら空間デザインから一緒に決めていくこともあります。

―――坂口さんの「オフィス部」は?
坂口:オフィス向けのブランド「ワークプラス」の営業と商品開発がメインで、他社のOEMにも携わっています。図面レイアウトから家具の納品まで、新規開拓もしますし、開発では海外工場と日々コミュニケーションし、商品の改良や品質改善の要望を伝えます。他には今年オルガテック東京に出展した際の運営やカタログ制作、メルマガ配信まで多岐に亘ります。
―――海外とのやりとりはどの辺りと?
坂口:中国がメインであとは台湾、ベトナムなどのアジアで、英語で直接やり取りする場合もありますし、人を介して現地とコミュニケーションをすることもあります。
―――建装部 宮川さんの業務は?
宮川:最近は商業施設の物販が多く、ダイソー産業の新ブランド「スタンダードプロダクツ」や「スリーピー」。他には「レスポートサック」やムーンバットさんの案件で、これらは設計施工から。他のメンバーになりますが、JR系列のホテル、ヴィアインの案件も施工まで手掛けています。
また、中国ワールドの上海と南通に2つの提携工場があり、家具のほとんどをそこで作り輸入し設置まで行います。図面はこちらで書き、中国ワールドのメンバーとやり取りをして翻訳をして工場へ。コロナ前は月に一度は行き発注、検品をして、日本で取り付け工事を行う。ホテルですと1~3ヶ月、物販は4~5日間で設置します。
―――3人が一緒に手掛けることもありますか?
宮川:最近では札幌のホテルの案件を一緒に受注しました。既存のコントラクトが手掛けたホテルで、家具を中国ワールドに発注をかける一連の流れです。
佐々木:コントラクトは施工が絡めないので、置家具だけで済ませられる範囲で留まっていましたが、建装部と一緒になったことで物件が増えています。
宮川:特注オーダーも、こちらで手配をして納めたり。海外出店を進めている取り引き先があり、これからの竣工ですがグアム空港近くの大規模商業施設内の高級ラウンジで受注が進み、秋に納品予定です。アスプルンドの家具を入れ、特注品は図面を書きながらデザインをして、中国に発注を進めます。提携工場が2社あり、高級家具から価格を抑えたものまでできる生産背景は他社と違うところ。ツーカーで話ができ大きな武器となります。
坂口:建装部と一緒になる前に、ワールド北青山ビル14階パークを、同年2020年の12月にはグループ会社のナルミヤ・インターナショナルのオフィスを手掛けています。大きい物件で内装も全て提案したい時に建装部と一緒に進めます。

宮川:ナルミヤ・インターナショナルのオフィスも一緒にね。様々な案件でアスプルンドのショールームを都内にいっぱい作ろうっていう。
坂口:そうそう「ワークプラス」のカタログ撮影もナルミヤさんで行わせていただきました。
―――緩やかに繋がりながら、専門を持たれているのですね

―――コロナ前後で変わったことも多いと思います
佐々木:止まっていた物件が動き出しました。並行して建築費の高騰による予算の見直しを余儀なくされて、複数プランを求められることも増えています。本当の希望のプランとコストを抑えた比較ですね。
―――予算面以外で、こんな空間に変えたいといったニーズはありますか?
佐々木:ホテルや旅館の傾向では、無人のサービスが増えました。これまではスタッフによるサービスだったものをセルフで対応するため、メンテナンスが楽なものが求められたり、テラスの需要も増えました。インドア、アウトドア双方に対応できるリゾート家具が強みのアスプルンドには良い傾向でした。
―――クライアントからの多様なオーダーに応えるのは大変なのでは?
佐々木:面白いなと思って取り組んでいますね。 経験を積めてきたので、アスプルンドらしい提案を軸に、新しいことにもチャレンジします。
坂口:働き方の変化に伴いオフィスは、オープンスペースに集まってコミュニケーションし、価値観を共有しインスピレーションを生み出す場に変わってきています。スチール家具ばかりの堅苦しい環境じゃなく、他部署の人と接点が生まれるフリーアドレスや気分転換になるソファ、集中できる個室ブースが求められる様になりました。
今提案しているオフィスは、オープンスペースを広く取り、個人席も減ってきています。まだ100%出社してる会社は少ないので、コクーンブースのような個室を作るなど、柔軟な空間づくりを。またアウトドアファニチャーを入れたリゾートっぽい空間を作りたいという要望もあるので、コントラクトで扱う家具やライフスタイル部のホームユースの家具も交えていきます。
宮川:コロナ禍で納品したリモートワークボックスが引き続き活用されていることを含め、働き方は変わってきています。

商業施設もオフィスも余白を生む空間づくりへ
―――パブリックな空間づくりに変化が訪れているのですね
宮川:良い意味で無駄な空間を作ることが多くなったかな。ホテルもオフィスも「楽しめる商業施設化」していると感じます。「働く」「泊まる」に特化するのではなく「楽しめる」という意味で、生活者の感覚が変わっていっていると感じます。
―――ホテルやオフィスに求めるものが変わってきている
佐々木:宮川さんが言った様に、商業施設化というのが言える。コロナ禍を経て、外に出たい、出るんだったら目的を持ちたいと。商業施設も他と差別化を図り、面白みや楽しさを提供する場が増え、SNSで映える様な家具や空間が選ばれます。
――― 座る場所やポップアップスペースなどの余白が増えたように感じます
宮川:お客様の過ごし方、ニーズも年々変わります。その中で我々アスプルンドに今後何ができるのかと考えると、家具を含めて“空間として売る”ことだと思います。
クリエイティブな感性が刺激される提案
―――アスプルンドにあって他に無いものは何でしょうか?
坂口:素材感を大事にしていて、自然に還元できるような、環境に優しいサステナブル要素のある製品も手掛けています。機能面や価格だけでなく、温かみを感じる木質を取り入れたデザインやサステナブルといえる家具の提案ができるのがアスプルンドの強さです。
―――商業施設に向けても、そういったアスプルンドの強みは一緒ですか?
佐々木:そうですね。「この空間にアスプルンドの家具を入れたい」というニーズに応えられるクオリティの家具を扱っているので、自信を持って提案しています。
―――パブリックという意味では商業施設やオフィス以外にもチャンスはありそうですね
佐々木:提案の場は広がっていて、最近では野球場のVIPスペース等も手掛ける機会がありました。HOKKAIDO BALLPARK F VILLAGEのラウンジエリアや、MAZDA Zoom-Zoomスタジアム広島のベンチシート一角にソファを並べバーベキューができるスペースを設けるなど、屋内・屋外と様々に対応しています。
宮川:ららぽーと平塚もアウトドアが全部アスプルンドの商品でしたね。
佐々木:あとは東京ドームシティのラクーアも手掛けました。スパリゾートは得意分野で、先方の10周年のリニューアルに対して建装と家具の受注を。東京ドームにはご縁があって、ドームの座席のほか、VIP席空間のリゾート化も。球場の周りや中で見る席をちょっと贅沢にという所で声を掛けてもらえる。

―――まさにそこが強みですね。
宮川:「やりたいな、こういうことしたいな」の先に実行のための部署が全てある。設計はかっこいいだけじゃなく「売るためにはどうすべきか」までを目的設定しているのはワールドグループならでは。PM(プロパティマネジメント)はオフィスやホテルにも応用できるので、 単独じゃなくて横ぐしでいきましょうと。
佐々木:横連携では、さいたま新都心に位置するTHE MARK GRAND HOTELもコントラクト事業部で受注し、一部を建装部と連携した物件です。元々、古くからあった建物の中を改装した大型案件で、ロビーラウンジやサロン、客室やフロア周り、チャペル全体までと幅広く対応できた事例です。
―――連携によって、可能性が広がりますね。
要となるカタログはどの位の頻度で更新をするのですか?

坂口:年に1回のペースで作っていますが「ワークプラス」は立ち上げ2年のブランドなのでブランディングを固めてどんどん売り出していきたいです。直近では9階建てのオフィスビルを1棟丸ごと提案した事例もあり、今後更に増やしていきたいです。
―――インタビューは恵比寿にある複数の家具が並ぶ心地よい空間「アスプルンド コントラクトショールーム」で行いました。設計から納品までを総合的に進めるグループの相乗効果が楽しみです。次号後編は、「PRIVATE」として生活者目線の空間づくりについてインタビューをします(MOVING編集)






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