店舗と営業、販促がひとつに “TCスタイル”を発信
タイムレスコンフォート自由が丘
サテライトオフィス、ミニスタジオ、ショールームを兼ねた情報発信基地
「自分たちの好きな店を作りたい」という創業者の思いで1995年にオープンしたタイムレスコンフォート自由が丘。おしゃれで洗練された街の代名詞ともいわれる自由が丘ですが、世界中から買い付けたインテリア雑貨と家具を販売するスタイルは当時まだ珍しく、地元のお客様を中心に認知を高めてきました。
以降、時代毎のテイストを取り入れながら幾度かの改装を経て、2021年3月、現在の姿にリニューアル。
アスプルンドは家具インテリアの開発輸入卸も行っており、タイムレスコンフォート自由が丘をショールーム機能として使うことでシナジーを高めています。さらに1Fにあるキッチンスペースにはミニスタジオ機能を持たせ、デジタル配信のコンテンツ作りを行うなど、情報発信基地として進化をしています。
今回は職種の異なる3名の鼎談に加えて、店長とストア部の責任者にインタビューをしました。
「TIMELESS COMFORT=時代を超えた心地よさ」 を店全体で発信



雑貨・インテリア部、ライフスタイル部、ストア部の3名にインタビュー

――MOVING編集)皆さんの入社の経緯をお教えいただけますか?
雑貨・インテリア部 部長 平尾健さん:自分は31年くらい働いていて、会社の創成期と共にこの会社にきました。
ライフスタイル部 副部長 岡澤仁司さん:そうですね、今31期ですから。
平尾:ファッションデザイナーを目指していたのですが、いろいろ考えて次に好きなのは雑貨だと。当時は雑貨やインテリアは業界としてまだ成り立っていなかった。だから雑誌「アンアン」などのインテリア特集で後ろの店名一覧のあ行から電話しまくろうと。そうしたらアスプルンドが一番早くて、面接に来たことを感謝されてしまって、妙に面接官に惹かれて入社しました。
岡澤:私は学校を出て家具の専門店に入ったんです。下町の個人でやっている会社で、とにかく忙しくて最後は番頭みたいになって、17年居ました。アスプルンドは当時の取引先のひとつで、声を掛けていただき入社。そういう意味ではずっと家具をやっている。入社後はインポート事業部というアスプルンドの根幹ともいえるチームで、発注や商品の値付けまでをやりました。入ってすぐの者にやらせて良いのか?と思いましたけれど、任せてくれたんです。
ストア部 商品・販促・広報 高橋麻子さん:私はアルバイトから入社して、19年目になります。店長になって東京に転勤し、 川崎店、スカイツリーではオープンも経験して本部に移りバイヤーに。その後販促になりました。
――現在のお仕事は?
平尾:雑貨・インテリア部としてオリジナルのブランドを開発して販売まで、全てを見ています。

――営業がメインですか?商品の方も見ておられる?
平尾:全部繋がっていて営業兼、仕入れ兼、バイヤー兼販促まで全てです。ひとつの職種だと頭でっかちになってしまうから、営業をすると市場もわかって、開発も買付もできるよねと繋げています。
入社した時は会社が始まったばかりだったので、倉庫が千葉県の市川にコンテナ4基だけだったんですね。台帳しかなくてね。
岡澤:コンピューターなんか使っていなくて、ノートで在庫管理をしていた。
平尾:在庫がわからなくなってしょっちゅう電話して、センター長に「すみません、これありますか?」と聞きながら。それでは回らないので、僕が営業事務というか、営業デリバリーみたいなものをやろうということになったんです。営業と倉庫を繋ぐ役割ですね。
――それが何年位前ですか?
平尾:30年近く前ですよね。
当時週に2日くらいは朝8時から荷下ろしをやっていた。コンテナが朝一に来て、倉庫に陳列するまでが仕事。当時は椅子がメインだったのですが、鉄の椅子が来ると重かった。2年位下積みを経て、その後に営業、その後バイヤーを。バイヤーとして商品を買ったら販促をしなくちゃねって、カタログも作って。最終的に俯瞰できるようになったので、その頃の経験は活きていると思います。
SNSを含め、店頭での発信を強化
――高橋さんは販促・広報ですよね?
高橋:入った時はSNSのアカウントはあったものの手つかずの状態でそこから始めました。
――オンラインもリニューアルを控えている?
高橋:春に向けてブランド&ECサイトの立ち上げを進め、よりSNSを強化し集客に貢献できるようにしたいです。SNSとカート機能を連動させて売上に結び付けていきたい。
あとはインナーブランディングも強化していきたいですね。外に発信する販促も重要ですが、内部のブランディングも同じくらい大切なことと考えています。社内で勉強会を開き本部と店舗スタッフがコミュニケーションをとる場面を設けています。
―― 1階奥に素敵なキッチンがありましたが、撮影で使用するのですか?
高橋:SNSの撮影スタジオとして使っています。発信拠点としてスタジオ機能を持たせたり、撮影のために定休日を設けたり、フレキシブルに対応できるのは路面店の強みです。

――家具の企画・開発もするのですか?
岡澤:はい、企画とOEMもやります。
平尾:加えて、それぞれ部署のマネージングもする。
有名インテリアショップにも商品を卸している
平尾:卸の例では、たとえば今はなくなってしまいましたが「フォブコープ」や「オレンジハウス」にも商品を卸していました。当時はインテリアショップ自体が少なかったですよね。
――当時皆の憧れだった「フォブコープ」にタイムレスコンフォートの商品を?
高橋:商品(販売元)にアスプルンドと記載されているのを店頭で見つけて嬉しかった記憶があります。
岡澤:あまり知られていませんが、有名インテリアショップやセレクトショップ等で取り扱う家具もOEMで手掛けています。
――商品面で新たな取組みを教えてください。
岡澤:本格的にはこれからですが、日本のメーカーとコラボレーションを進めています。

――店舗で先ほど拝見しました。食器だけでなく家具も日本製を?
岡澤:家具もそうです。ただ家具のメーカーだと他で売っているものと同じものができてしまうので、システムキッチンを作っているメーカー様などと取組みもしています。たとえばバイオーダーといって、日本だとサイズ変更ができるので、同じものを何十個も作らなくても良いところがメリットです。商品はショップアスプルンド恵比寿で販売をする検討をして、1月半ばの展示会で発表する予定です。
――展示会に来るのは卸先のお客様?
岡澤:そうですね。今まで家具屋さんが多かったのですが、ECサイトのお客様の方も増えています。
――ECの取組み先は元々家具を扱っているところが多い?それとも新規参入でしょうか?
岡澤:突然スタートするところも多いです。家具屋さんがECを始めるのはもちろん、家具屋さんのECサイトを作っていたベンダーさんなど。開始する理由も様々ですが、参入は増えていると感じます。
岡澤:多店舗展開していた時代もありましたが、これからは店舗を起点にECも力を入れていくことになります。最終的にはここからBtoCで売れるものを開発していく。それが3軸あって「ショップアスプルンド恵比寿で売る高価格帯の家具」と「タイムレスコンフォートで売る中価格帯の家具」と「EC」。ECは価格もありますが、配送がしやすいコンパクトな家具や照明など買いやすい点も大事です。
平尾:やっぱりECで売れるものは違ったりするからね。
岡澤:ECで売りやすいとか、その逆とか、徐々に見えてきている。価格だけでなく送料がかからないように三辺サイズいくつまでとか、その上で同じ様な質感で作るとか、多面的に考えていきます。
店舗があるからこそ
――自由が丘店はフラッグシップショップを兼ねて、卸のお客様の営業拠点としても?
平尾:そうです。卸だけで直営店を持っていないと、リアルなブランド訴求が簡単ではないですよね。たとえばブラシのラインナップを多数持っていても、キッチン用、ハウスキーピング用と商品も分散し、POPすら出す事が難しく商品の団体戦ができない。でも直営店があるとひとつのステージとして世界観が演出できる。販売実績を上げ、施策を発信できる基地となるから、店舗で世界観が出せるのは大事。

――カタログもいつも充実しています。
岡澤:カタログは実はあまりお金をかけず、自前なんですよ。撮影も自分達で、関崎さんがスタイリングをしてくれて。それから定年退職された松浦さんという方にもお願いしています。当時直営事業部の部長で恵比寿店の店舗開発を行った方です。
平尾:松浦さんはグラフィックもカメラもできスキルが高い。写真を送れば、レイアウトもしてくれる。やっぱり色とか質感がわかるから、色々注文しなくてもできることは貴重です。
岡澤:すごく重要な方ですが、次世代も育てたいですよね。
平尾:以前から皆一通りの職種をやって来たから、イメージが繋がりやすいというのはあります。
岡澤:全部やるからこそ、組み立てられるし問題点もやる前から解っている。
平尾:クレームもね、経験値でどんなクレームか、解決方法もわかる。
岡澤:クレーム対応で学ぶこともあって、実際にお会いして自分の時間を使うと、話し合いになり解決していく。メンバーとやっていくのも同じですよね。
平尾:それはそうですよね、やっぱり会うとね、営業も同じです。
――やっぱりモノと世界観を伝える商売なので、見て、話してが重要なのですね。

店舗は発信拠点として、可能性を秘めている
平尾:過去は店舗と卸の関係って同床異夢というか距離がありましたよね。今は一緒になったので、とにかくしっかり組んで行きたい。
高橋:店と営業、皆で前より一緒に考える時間は増えていますよね。
岡澤:今は自社でダイレクトに売る方が重要になってきているので、目的も一緒になっている。
高橋:一番に店舗で発信していきたいですし、それはもうSNSしかり、店舗しかりで。
平尾:ここで成功することによって、卸のお客様に対しても良いアプローチができる。意気込みとして、自分達の思いを演出できる小売りがしっかりして、売上もぐんと伸ばしてね。卸先のお客様から是非商品を卸してくれと列ができるくらいになりたいですね。

柏倉みのり店長インタビュー「北海道からキャリーバッグひとつで上京、夢中で働いた7年間」

学生時代は札幌で建築を学び、その後デザイン事務所に1年半勤務をしましたが、より多くの選択肢を求めてキャリーバッグひとつで東京に来ました。最初は友達の家に居候だったんです。元々インテリアが好きだったので、タイムレスコンフォート自由が丘でアルバイトを募集していたのを知り応募。契約社員を経て店長になり、7年目です。夢中で働いたので本当にあっという間でした。

店長として店の管理とスタッフやパートさんとのコミュニケーションを図るほか、お客様の応対をする中で、こんなものがあったら良いな、新しく入れてほしいという意見を伝えるのも役割のひとつです。自由が丘店は女性のお客様、中でも主婦の方が中心ですが、最近は男性の来店も増えていて、フライパンなどのツールやキッチン雑貨も動きます。また立地柄ホームパーティーをされる方も多く品揃えにも反映されています。
お客様に「相談して良かった」と言われたり、繰り返しご来店いただけるのはやはりやりがいですね。家族や暮らし方の形態も変わっていますし、今の時代に何が必要かをスタッフやメンバーと相談をしてより良い店舗にしていきたいです。
ストア部 部長 関崎香枝さんインタビュー 「皆の思いを共有して、利益も上げたい」

元々はアパレルメーカーでVMDを担当していました。美術系の大学で学びましたので、ファッションはもちろんインテリアにも興味がありました。入社はショップアスプルンド恵比寿の立ち上げ時に、店長をしていた親友にVMDを手掛けて欲しいと声を掛けられたのがきっかけです。最初は迷いましたが転職をして今に至ります。それぞれのブランドの魅力を引き出す空間演出は、アパレルもインテリアも同じです。
他のメンバーも言っていますが、少数精鋭だからこそオールラウンダーの役割を求められるチームです。インテリアが好きで自社商品への思い入れが強いメンバーが集まっているので心強いです。私は今はストア部全体を管理する立場として、リアル店舗とECを共に見ながら全体のパイプとなる役割をしています。組織を再編したことで、店舗と卸、みんなの目線が合ってきてやるべきことが明確になってきたと感じます。皆の思いを共有しながら利益に繋げたいですね。
店内の商品も時流に沿ったエシカルなものはもちろん、海外からセレクトした絵になるインテリア雑貨も多く、ひとつひとつが魅力ある商品です。
マネージメント業務だけでなく、店舗のVMDやインテリアスタイリングなど得意分野のプレイヤーとしてまだまだやりたいことはたくさん。4月から5月にかけてはブランドサイトのリニューアルを予定しており、タイムレスコンフォートを店舗、EC双方でコンセプトと品揃えの魅力を伝えられるよう、皆のコミュニケーションを高めながら、発信できる場所にしていきたいです。

店舗1階正面から。2階にインテリアがあることを伝えるディスプレイで店内に誘導

お出迎えしてくれる、ドイツ製のハリネズミ型シューズブラシとドアストッパー

タイムレスコンフォート自由が丘 東京都目黒区自由が丘2-9-11 ※自由が丘駅から徒歩3分
様々なライフスタイルショップが並び、遠方から訪れるお客様も増え「インテリア・雑貨の街」のイメージが定着した自由が丘。 タイムレスコンフォートは、南堀江にも路面店がありますが、南堀江は周辺にアパレルショップが立ち並ぶ中、カフェを併設させるなど、商品セレクトにも地域性を持たせています。
MOVING編集 あとがき)クリスマス前の店内で取材を行いました。インテリア雑貨に目がないMOVING編集はもう夢中。店内で皆さんの説明を聞き、商品ひとつひとつのストーリーに更に高揚。オリーブの古木でつくられたまな板が忘れられず、次はお買い物に伺います。






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