熊本から、世界に誇れる服作りで人を育てる株式会社ラ・モード

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毎回、1つのグループ会社やチームをクローズアップして、強みと魅力に迫る「OUR TEAM」。

今回紹介するラ・モード社は、1949年、熊本県で洋裁学校として創業しました。創業者 松浦シズエさんは、地元・熊本の道徳の教科書にも紹介される功労者。戦後、東京で洋裁を学び、熊本県に洋裁の専門学校を設立して、女性の地位向上と洋裁技術の普及に尽力するなど、大正、昭和、平成を生きたキャリアウーマンの先駆け的な存在です。1968年には私立城北高等学校を設立し、地元の教育にも貢献しています。

1973年、習得した洋裁技術の実践と雇用の場として縫製工場(現在のラ・モード社)を設立。 国内最高峰の製造技術とシステムを備えたラ・モード社の技術力は、 日本のみならず、世界のトップデザイナーやラグジュアリーブランドから信頼されています。

2011年 、ワールドグループの生産改革の一環として、ハイエンドな製品にも対応できる魅力ある製品作りの基盤を構築するため、グループに仲間入りをしてワールドグループの直営工場となった今も、創業者が目指した”人を育てる精神 ” “世界に誇れる 技術力 ”が受け継がれています。

 

3つのキーワードで知る、ラ・モードの技術力

取材に訪れた日、「コム デ ギャルソン」が2020年春夏パリ・コレクションで発表した作品を、ラ・モードで商品として縫製し、世界の直営店に届けられるところに遭遇しました。

 

 

 

 

ワールドグループの直営工場ですが、自社ブランドの割合は1割程度。名だたるデザイナーズブランドやラグジュアリーブランドから仕事を受けています。

 

 

キーマンに聞く! 

これがラ・モードを支える3つのチカラ

そんなラ・モードの強さのヒミツをキーマンに伺いました。

① 限界の壁を越えるチームワークとチャレンジ

② 次代へつなぐ変化対応力

③ 人を育てる産学一体の経営方針

最初にお話を聞くのは、ラ・モードの“トップオブ技術力”、工場長の内野さんです。

 内野さんは、昨年、一般社団法人 日本ファッション産業協議会がJ∞QUALITY認証事業5周年記念として日本が誇る繊維産業・産地において独自の技術開発に携わった人、匠の技術を持った人をクローズアップし、「ものづくりの達人たち」として50人を選出した  J∞QUALITYアワード2019「ものづくりの達人たち」の  婦人服製造部門達人5名に選ばれました。

J∞QUALITY(ジェイクオリティ)」とは、織り・編み、染め、縫い、これら3つの工程をすべて国内で行った、純正の日本製アパレルであることを示す、一般社団法人日本ファッション産業協議会が主導する認証制度 

 

 

 

その①限界の壁を越えるチームワークとチャレンジ

J∞QUALITYアワード2019「ものづくりの達人たち」 の賞状を手にした
工場長 内野美智江さん

ラ・モードには、さまざまなブランドのデザイナーさんやパタンナーさんから駆け込み寺にのように新しい素材や新しいデザインの相談をいただくことがしばしばあります。最初は「こんなの作れるの?」と限界を感じるような依頼もありますが、ここぞという時のうちのチームワークはすごい!皆がノウハウを出し合って、智恵を絞って、垣根を越えて協力して、必ず結果につなげてくれます。

 

 

もう一つのラ・モードの強みは、現状に甘んじず、常に新しいことにチャレンジする創業者精神が受け継がれていることだと思います。何十年も前の話なりますが、創業者は海外の高級ブランド店で、まだ日本で見たことが無い素材、商品を見つけると、購入して工場に持ち帰り、私たちにこれが縫えるようにと分解して研究させ、他より先駆けて新しい技術を習得させてくれました。

ラ・モードの玄関に飾られる創業者  松浦シズエの銅像

新しいチャレンジを続けてきたラ・モードは、トレンチコート、ジャケットといった得意が限定された工場ではなく、常にフル素材、フルアイテムに挑戦しています。そして、工場の得意技を前面に出すのではなく、デザイナーさんがどういう気持ちでデザインしたのか、 このブランドの雰囲気はどうなんだろうと慮って、そのブランドらしさを大切にした商品に仕上げるものづくりを心がけています。

その②次代へつなぐ変化対応力

 

技術力を支える内野工場長から生産技術担当 細田理香さんへ、営業の要である常務取締役 米元正美さんから米元康人へと、ラ・モードではベテランから若手への技術やノウハウ、そして創業者の精神の継承も行われています。

ラ・モードの次代を担う二人。営業担当 米元康人さん(左)、
生産技術担当 細田理香さん(右)

取引先を開拓し、仕事を受注してくる営業と、一旦受けた仕事は期待を超えるクオリティで納めるまでを担う生産管理。このコンビネーションを大切に、ラ・モードは取引先からの信用と信頼を築き上げてきました。

米元常務(左)から営業のノウハウを継承

営業の米元常務は、こんなの製品化できるのかという、つまり、世の中にまだ無い先駈けの技術やデザインの仕事をいち早く受けてくる。一旦受けたからには考えて悩んで、解決して作り上げるしかありません。しかし、その先駆けの技術やデザインは、次のシーズンには流行となってたくさんのブランドが取り入れてくる。他の工場は初めてでも、ワンシーズン前に取り組んだ当社は、量産にも取り組みやすい。このチャレンジの繰り返しが、ハイエンドからデザイナーズブランドまで取引先を広げ、技術力を高めるラ・モードの変化対応力の源泉となっています。

 

取引先から、当社は指示書へのコメントがとても多いと言われますが、一旦、受けた仕事は責任を持って製品化しなければない。気になること、わからないことは徹底的に確認します。生産管理の仕事は、受けた仕事を必要な枚数を納期までに納められるよう管理すること。かっちりした、ふんわりしたなどデザイナーが求める雰囲気が量産につながらない場合は、正直にその仕様は必要ないですと伝えることで、取引先との信頼関係が作られていると思います。

これからもラ・モードの強みである変化対応力を、次代の私たちが引き継ぎ、そして伝えて、より良い物作りに取り組んで行きたいと考えています。

その③人を育てる産学一体の経営方針

ラ・モードの人事担当 米元エリさん

 

 

初々しい笑顔の新入社員

ラ・モードの強みは、産学一体の経営方針により、技術の維持・向上を目指した洋裁学校を併設していることです。新入社員は、 週2回、 まず3年間の本科へ通い、 4年目は1年間の専科で 学びます。新卒で入社したときにはまったく洋服を縫ったことがなくても、ブラウス、スカート、ワンピース、ジャケット、フォーマルスーツ、コートが丸縫い(一人で仕上げる)できるようになり、卒業するときは女性社員はウエディングドレスを、男性社員はタキシードを作れるところまでの技術を習得します。また、縫製だけではなく、デザインやパターンも学びます。

 

検定合格者の名前が並ぶ

 

 

ラ・モードの技術力は、社員の60%以上が国家検定である婦人子供服製造技能士を有していること。会社も検定のサポートを行い、受験者の合格率は100%、社員全員が有資格者を目指し挑戦を続けています。 何より、仕事とは別に学びの場があることは、新入社員にとっては絆が生まれ、先輩社員が講師として教えることでお互いの技術の向上にもつながっています。

社長メッセージ

ラ・モード 米元三枝社長

パリコレで発表するようなラグジュアリーブランドや東京のデザイナーズブランドが、熊本県山鹿にある当社まで足を運んで下さり、小ロット・高価格・高付加価値の仕事を依頼してくれます。時には難しいご要望もいただきますが、どこに次なる芽、チャンスがあるかわかりません。当社は創業から新しいことに挑戦し、技術力を高めることで、他には出来ない「フル素材」「フルアイテム」に対応する工場として取り組んできました。最近、新たに「フルロット」、つまり1枚から500枚にも対応するというキーワードを加えました。ラ・モードの世界に誇れる技術を支えてくれているのは社員のチカラ。これからも「ダーウィンの進化論」のように変化対応していきたいと思っています。

 

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