ブランド力を上げるSNS活用術〜PINK-latte特集 -D-GROUTH戦略本部 デジタルマーケティングラボ 松本千広さん、ピンクラテ マーケティング担当 竹内光さん対談-
InstagramやTwitterなど、ブランドの魅力を伝えるツールとして欠かせないSNS。ワールドグループの多様なブランドの中でも、特にSNSでの発信に力を入れているブランドのひとつ、PINK-latteに活用法をインタビューしました。お話を伺ったのは、PINK-latteのSNSを担当している株式会社ピンクラテの竹内光さんと、PINK-latte TVのSNSを担当しているワールド D-GROWTH戦略本部の松本千広さんのおふたり。ティーンズマーケットに対して、様々なツールを使い分けながら戦略的に発信を続けているお二人にじっくりとお話を伺いました。

左)株式会社ワールド D-GROWTH戦略本部 デジタルマーケティングラボ デジタルメディアPJT 松本 千広さん
プッシュだけじゃない、インタラクティブなコミュニケーションがSNSの強み
MOVING:本日はPINK-latte、PINK-latte TVでそれぞれSNSの担当をしているお二人にお話を伺います。PINK-latteブランドには2つのアカウントがありますが、そもそもなぜ2つのアカウントがあるのでしょうか。
竹内:はい、それぞれ役割と立ち位置が違います。PINK-latteは商品やイベントなどの情報を発信することが目的。それに対して、PINK-latte TVは、雑誌のようにティーン世代に向けたメディアとして様々な切り口で情報を発信しています。
MOVING:それぞれどんなツールを使っているんですか?
竹内:PINK-latteはInstagram、Twitterです。PINK-latte TVは、You Tube、Tik Tok、Instagram、Twitterの4つ。私がPINK-latteを、そして松本さんがPINK-latte TVをそれぞれ担当しています。PINK-latteですが、ツイッターではオープン情報や店舗でのイベント情報の発信のみ。インスタに関しては、強化品番やイメージモデルを使った写真、インスタ映えするかわいいものを発信するというように、それぞれのツールで役割を分けて運用しています。フォロワー数は、その時々で前後しますがPINK-latteのインスタは3.3万人、ツイッターが2万420人ですね。


松本:PINK-latte TVは、PINK-latteという看板がつきながらもPINK-latteのことだけを宣伝しているわけではなく、“ティーンのためのメディア”という位置づけです。You Tubeチャンネルがメインで、Tik Tok、Instagram、Twitterの4つを運営していて、それらすべてを総称してPINK-latte TVとして運営しています。今年の3月で2年目を迎えるのですが、フォロワー数は、You Tubeチャンネルが5.9万人、インスタが1.7万人、ツイッターが6000人、Tiktokは4.4万人です。メインのYou Tubeでは、毎週金曜日と土曜日に最新動画を配信しています。


一緒に成長し、夢をかなえるメディアPINK-latte TV
MOVING:PINK-latte TVはメディアとの位置づけですが、具体的にはどんなふうに企画を立てているんですか?
松本:雑誌に代わるメディアとして立ち上げているので、月に1回、特集テーマを決めています。「おしゃれ、エンタメ、トレンド」の3つの切り口の企画で、WEBモデルの女の子達がワイワイと楽しみながら発信しています。おしゃれの参考になる情報はもちろん、流行りのダンスを踊ってみたり、ゲームをしてみたりと、ティーン世代が学校で真似して遊べそうな内容を意識して盛り込んでいます。企画は3ヶ月先まで考えているのですが、今月の特集(取材時は1月)は、お正月太りが気になるので、「ラテザップ」(笑)。エクササイズ月間にしていて、月を通してみんなでダイエットやスタイルキープしようと企画をインスタやストーリーズで発信しています。インスタでは、撮影の際のコーディネートに使った商品は必ず載せるようにしています。

また、インスタでは「ぴてぃーさんのお悩みコーナー」というのがありまして、ぴてぃーさんというのは実は私なのですが(笑)、毎月フォロワーの方から2,000件くらいの悩みが届きます。恋の話から、学校での友人関係などの少し深刻なお悩みまであって、中には将来の夢の話も。彼女達のお悩みに少しお姉さんのぴてぃーさんとして答えています。ツイッターは、そのぴてぃーさんが撮影の時のモデルのオフショットや裏話を投稿していて、ラフな情報を流すために使っています。Tik Tokは最近ティーンに人気のSNSなのですが、こちらは主にモデルと視聴者とのコミュニケーションを促進するツールとして使っています。すべてのSNSツールはファンやお客様とコミュニケーションを取るためのものだと思っているので、一方的に情報を流すのではなくて、視聴者の反応に対して何かを返すというように双方向のコミュニケーションをしています。
人気ティーン雑誌と連携して、旬の情報をアップ
MOVING:ここまでのフォロワー数に育てるのに、具体的にどういう施策を打ってきましたか?
竹内:PINK-latteのインスタは前任の方がいて、私が担当になる時点で既に3万人のフォロワーがいました。現在は、3,000人増えて、3.3万人です。イメージモデルのオフショットやインスタでしか見れないものなども投稿していて、モデルの子が自身のアカウントからメンションをつけてくれるので、彼女のファンの子も見に来てくれていますね。イメージモデルは、人気ティーン雑誌の『nicola』と連携しながら1年間、ひとりの子が務めています。また、投稿頻度ですが、毎日投稿しはじめてから一気にフォロワーが増えました。それまでは連日あげることもあれば、月に2、3回の時もあったりとばらつきがありましたが、頻度が上がったことでフォロワーも増えていきました。
松本:SNSは見るアプリによって、お客様が求めている情報が違うと思うので、それによって使い分けることが大切だし、そのことを意識して投稿することがフォロワーアップにつながると思います。SNSはコミュニケーションを取るためのツールなので、お客様の求めているものに対してコミットするようにしています。

現場のリアルな声が、共感を呼ぶメディアのカギ
MOVING:日々の投稿やフローはどういう体制でやっていますか?
竹内:PINK-latteでは、毎週やっている部内の販促会議で商品課や営業課と相談しながら投稿内容を決めていっています。売りたい商品を共有し、すぐに撮影して投稿するのですが、スピード感としては、週初に会議をして、週中に撮影し、その週末にはアップしています。やはり閲覧数は週末にぐっと伸びますし、タイミングは大切だと思っています。もっと早い段階だと月次の会議で「これは絶対に売りたい」というものは先にスケジュールを立てることもあります。また、アップする商品はPINK-latteのイメージモデルでご一緒している『nicola』編集部とも連携して、編集部で評判のいい商品を載せたりもします。あと、私たちはターゲットであるティーンの年代ではないので、お客様と直接コミュニケーションを取っている店舗スタッフの意見をとても参考にしています。私も店舗出身で、10年近く店頭に立っていましたし、今も店舗に頻繁に足を運んで感覚がブレないようにしていますね。店舗には高校生がバイトをしていたりもしますし、スタッフがお客様から聞いた話も教えてもらったりしています。現場の意見、やっぱり大切です。

松本:PINK-latte TVでは、企画、撮影、構成、ロケ場所のアポ取りから、4つのSNSのアカウントの更新やコメントの管理まで、これまではすべて一人でやっていたのですが、昨年の秋に心強い後輩が加わりました。とはいえ、人数は少ないので物理的にはなかなか大変です。また、ファンレターや年賀状も100通以上いただくので、手書きでお返事を書いたりもしていますね。手書きでお返事をする理由は二つあって、一つは単純に嬉しいから。年賀状を書いたことがない世代なのに、わざわざ郵便局に足を運び、年賀状を買って、書いて、ポストに投函してくれる。そのことがやっぱり嬉しいです。それに、社会人になってファンレターをもらうことなんて普通はないことですし、ファンがいるということは大きなやりがいになります。もうひとつは、自分の子供の頃の思いがあります。小さい頃、ナルミヤのブランドが大好きで、お店の人から毎月お手紙をもらっていたんです。そのことはとても大切な記憶として残っていて、今でもその手紙は大事にとっておいていますし、あの感動体験が今の仕事につながっていると思っています。自分がやってもらって嬉しかったことは人にも返したいと思っているので、私も手書きでのお返事を貫いています。いい循環が生まれるといいなと思って。
竹内:私も店頭にいた頃、お客様からファンレターをいただいて、嬉しかったですね。私自身も松本さん同様にティーンの頃、当時大好きだったショップスタッフのお姉さんと手紙のやりとりをしていました。かつて、ショップのお姉さんに手紙を書いていた私がもらうようになるとは思っていなかったけれど、時代は変わってもそういう想いは変わらないんだと思います。お買い物をした後、やっぱりお客様には笑顔で帰ってもらいたいですし、できる限りのコミュニケーションは取っていきたいと思っています。
松本:そうですね、やっぱりお客様を喜ばせたいという気持ちは強いですし、目の前のお客様に満足してもらいたいんです。
竹内:もちろん、ブランドなのでSNSに商品の投稿はしますが、それだけではありません。例えばお正月。モデルの投稿が上に上がっていますが、そこには商品は写っていません。でも、モデルのファンの子達は嬉しいですよね。最終的にどうしてSNSをやっているかというと、一番の目的はフォロワーを喜ばせたいからなんです。
松本:そうですね、その先に商品があるのだと思います。売るためのプロは店舗のスタッフがいるので、私たちSNSを担当している者はコミュニケーションのプロでありたいと思っています。SNSは、お客様にいかにそのブランドや世界観を好きになってもらうかということのためのツールだと思っています。

フォロワーやお客様への向かい方、熱量の高さが結果的にフォロワーの増加につながっている
竹内:ちゃんと向き合ってコミュニケーションを取って、その上で手間暇かけて、汗水流さないとフォロワーは増えないです。キャンペーンをやっても終わればすぐに減ってしまいますし。
松本:そもそもフォロワーを増やすことが目的なのではなくて、フォロワーとどういう関係性を築くのかが大切ですし、その先にどういうコミュニケーションがあるのか、そしてどういうお客様にファンになってもらいたいかを明確にもつことが大切なんだと思います。
飽きられないようにするために工夫していることは?
松本:例えば画像の加工ひとつとってもトレンドがあって、そのトレンドの流れもすごく早いです。先週たくさんイイネが付いていたのに、今週になるともうトレンドじゃないので付かなくなったりしてしまうのでその場合はすぐに変えます。毎朝、前日の投稿について会話をするんですが、その時に反応の良かったものや良くなかったものをチェックして、その日の投稿にすぐに反映していきます。そのトレンドを知るためにも、すべてのSNSツールの今流行っているアカウントなどをひたすらチェックしています。あと、Abema TVはマスト。コンテンツも新しいことにチャレンジしていることが多いし、各ツールの使い方や連携も上手いので、参考にしています。
竹内:私も松本さんおすすめのアカウントは片っ端から見ていますね。あと、いいと思った人や、アカウントがフォローしている先もさらにチェックしてみたり。私も松本さんも通勤中、ランチ中と、とにかく常にスマホ片手にチェックしています。
松本:そうですね。竹内さんとの会話はたいていツイッタートレンドから始まります(笑)。
これからやってみたいこと、やろうとしていることは?
松本:PINK-latte TVは、担当者だけじゃなくて、出演者、制作する編集の方などみんなで目標値を共有しています。さらに3月に向けては、その目標をファンにも言おうと思っているんです。みんなでこの目標をかなえよう、これを達成しようというのが、今のティーン世代のトレンドでもあるんです。なので、運営側が「私たちこの期間までに7万人いきたいんです。応援してください!」とオープンにしてファンやお客様と共に目標を達成していくのが、今やろうとしていることですね。ティーン世代に「力になりたい」と思える空気づくりを仕掛けていきたいなぁ、と。今、応援消費がトレンドだと思うので、垣根をなくして、いかに巻き込み、チームに入ってもらえるかの仕掛けは作らないとと思っています。
竹内: PINK-latteは、入店や客数アップのために、これまで以上に店舗とウェブサイトを連携しながらSNSの発信をしていきたいと思っています。具体的には、商品の先行をSNSのみで配信したり、インスタを使った企画を店舗と連携させたりもしていきたいと思っています。
MOVING:PINK-latteとPINK-latte TV、双方がそれぞれの役割を持ちながらも、お客様に喜んで欲しいということを一番大切にして、いいバランスが取れていると感じました。本日はありがとうございました!
次回、パート2では、屋号長の丸則貴さんと開発MDの森万由子さんにマーケティングを軸とした全体のブランディングについて伺います。次回もお楽しみに。






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