おいしい読書
食欲の秋、読書の秋。
ご飯を食べるのも料理をするのも、本を読むのも好きな、伊原志津子です。
レシピ本や食に関する本を読んだり眺めたりするのも大好きで、家には料理関連本だけの本棚が壁一面にあるのですが、ざっと数えてみたらなかなかの冊数で、あらためて一生かかっても食べきれないほどのレシピの数に(心が)おなかいっぱいになりました。
定期購読誌は『dancyu』『ELLE gourmet』、フォローしているインスタアカウントは料理家関連多数で保存しているのはレシピ動画ばかり。本屋さんや図書館に行けば料理本コーナーで時を忘れて眺め続け、「あ、これいいな」と思ったと同時に買ってしまいます。
母が料理も料理本も好きという影響が大きく、子供の頃から日常的に本を眺めていて、今はその中から譲り受けた昔の本もかなりあります。

というわけで、今回は食に関する本をいくつかご紹介しようと思います。
まずは、こちらから。

まずはお酒関連(←そこからか笑)。
家飲みの時、グラス片手にちょいちょいしたものを用意。その時に重宝するのが、切るだけのチーズやハム、あとはつくりおき系のマリネやピクルスなど。これからの季節は、牡蠣と栗をオイル漬けにしたり、柿とレーズンをラム酒につけてクリームチーズと合わせたり。…となると、ワインかな。
で、小腹が空いたらサンドウィッチ。特にバーのサンドウィッチが好きなのです。



なんといっても好物は、銀座・ロックフィッシュのきゅうりとコンビーフのサンドウィッチ。名物のハイボールとの相性は言わずもがな、最高。トーストしてあるサンドウィッチは全般的にお酒との相性がいいように感じます。軽めのビールやハイボールなどには、クラブハウスサンドやカツサンド、ハムチーズのホットサンド等も、捨てがたい。タルティーヌのようなオープンスタイルはワインに合わせるのもいい。ああ、書きながら食べたく(呑みたく)なってきました。
家でも作りたい、と思った方は、ぜひともこちらの本を。
■『バーの主人がこっそり教えるおつまみサンド』 間口一就 (柴田書店)
こちらには、先ほどのコンビーフサンドはもちろん、おつまみサンドが80品掲載。パラパラ見ているだけでも楽しい1冊です。
ちなみに、サンドウィッチ関連の料理本だと、こちらもおすすめ。
■『サンドイッチの発想と組み立て』 ナガタユイ (誠文堂新光社)
世界各国のサンドウィッチの食文化の背景やルーツ、作り方のポイントから法則まで、使うパンの特色から、具材を挟む際のルールまで、理路整然とまとめられています。
乗せるだけ、のタルティーヌやブルスケッタもよき。今の時期だと秋のフルーツを使ってイチジクとゴルゴンゾーラにハチミツ、ブドウとマスカルポーネチーズ、柿とサワークリームに胡椒なども簡単で美味しい。ぜひとも、おいしいバケットで。
■『なんでもブルスケッタ』 柳瀬久美子 (河出書房新社)
サンドウィッチの本の話だけでおなかいっぱいだよ、とお思いかもしれませんが、気が向いた方はもう少しだけお付き合いを。料理本はレシピだけにあらず、様々なエッセイも魅力です。
敬愛する杉浦日向子さんは、江戸風俗を題材にした本が多数ある中でもちろん、食文化も多く取り上げています。食通としても知られていて、食に関する随筆がどれも素晴らしい。

『4時のオヤツ』は、3ページ分の短い小説とオヤツ写真がエピソード的に集められている随筆集。小説は会話を中心としたフィクションですが、オヤツは実際にあるものなので、エピソードにぐっとリアリティが生まれて、そのバランスが絶妙です。「長命寺の桜餅」「新宿中村屋のクリームパン」「赤坂砂場の卵焼き」などなど、読むと食べたくなるものばかり。バッグに入れておいて、ちょっとした移動時間に読むのにも、よい塩梅です。
エピソード、といえば、この本もちょっとおもしろい。

■『ゴロツキはいつも食卓を襲う フード理論とステレオタイプフード50』 福田里香 (太田出版)
クスリと笑える50タイトルが並ぶ目次を読むだけでおもしろい。例えば、「失恋のヤケ食いはいつも好物」「美人についうっとりみとれると、調味料をかけすぎる」「カーチェイスで、はね飛ばされるのは、いつも果物屋」など。ちなみに、書籍タイトルにもなっている「ゴロツキ~」から私が思い浮かんだのは、映画「パルプフィクション」のオープニングでした。
最後に、大切なこの一冊を。


■『食卓一期一会』 長田弘 (晶文社)
好きな本は多々あれど、1冊選ぶとしたらこの本かもしれない。詩人の長田弘さんが食卓の風景をつづったこの詩集には、選び抜かれた言葉から心に刺さる本質が描かれていて、手に取るたびに気づきがあります。
秋が来て、夜が長くなりました。寝る前にゆっくりとページをめくる時間もいいものです。
長くなりましたが、ここまでお読みいただき有難うございました。今回はこのあたりで。
次回は、阿部あゆ子さんです。






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