「212 KITCHEN STORE」前編 “食卓”を豊かに、チームの審美眼でキッチン雑貨をセレクト
2017年にワールドグループに仲間入りした「212 KITCHEN STORE(以下212K)」は、現在全国に84店舗を展開する「食」をテーマにしたセレクトショップ。“世界で一番素敵なレストラン それは我が家の食卓 ”をコンセプトに、世界中から集めたキッチン雑貨を展開しています。今回は、「作る、食べる、片づける」に分かれたチーム体制をもつ212Kから、商品チームバイヤーの鼎談をお届けします。

「つくる、食べる、片づける」バイヤー3人にインタビュー

| ☑ | 「作る」から「片づける」へ、ニーズが変化。 直近は「節約」のキーワードがビシビシきています。 |
| ☑ | 商品の付加価値を伝えることが重要な今だからこそ、 強化品をスタッフに使ってもらう取り組みをスタート。 |
| ☑ | 「つくる」と「片づける」は、定番・スタメン。 息吹を注入する「食べる」を交え52週MDを組み立て、市場のようなワクワク感を。 |
――コロナ禍で「作る、食べる、片づける」の各バイヤーは、お客様のニーズの変化をどう体感しているのでしょうか?
木村:「作る」のカテゴリーでは、フライパンや家電を「買い替える」という変化がありました。その後は「より簡単に作る」方に。今は、食器や食べた後の「片づける」にシフトしています。

高木:特別感を感じられるような器に興味をもつ方が増えました。ふだん食器にこだわらなかった人も興味を持つようになったと思います。
宮田:男性を中心に料理を始める人が増えたので、最初の頃は一通りキッチン道具を購入するお客様も多く見られました。
――高木さんが担当される「食べる」での変化は?

高木:長く使える良いものが動きもよくなりました。また、クラフト感やストーリ性があるこだわりの食器が売れ、品揃えの幅も広げました。今は外出する方も増え、レジャーなど外でも使える割れにくい素材の食器も売れ筋です。
――宮田さんが担当される「片付ける」での変化は?
宮田:家ナカ時間が増え、食器やツールの買い替えの影響もあり顕著に出たのが収納。山崎実業のタワーシリーズやフライパンや鍋を取りやすくするアイテムも。また、抗菌除菌の意識が高くなりオートディスペンサーの需要も増えました。作った料理を保存する容器も、長く使えるいいものを求めて昔からある野田琺瑯や日本製の容器がECでも好調です。


――ニーズのキーワードはありますか?
木村:直近は「節約」のキーワードがビシビシ来ていますね。社会情勢をはじめとする様々な要因から、価格には一層敏感になっています。
――キッチンは世相の影響をダイレクトに受けやすいですね
木村:今は買い替えがシビア。SDGs視点も加わりサイクルが長くなりました。
――キッチン雑貨の買い場も広がる中、どう212Kの魅力を伝えるのでしょうか?
木村:「212Kが選んだ道具はなぜいいのか」を伝えること。212K視点のポップを充実させたり、デジタルを強化。コロナ禍にリニューアルしたWEBやSNSで発信する動画やインスタライブ等、デジタルへの取り組みは、2019年に比べると大きな変化です。

宮田:接客では、強化品をお店に送りスタッフに使ってもらう取り組みを一部店舗から始めています。高額な商品も実際に使ってみて試せ、商品知識チームとサービス改善チームで要望も聞いています。
木村:「使用時満足度の高い商品」はすごい付加価値です。自分も「あっちこっち®ふきん」、1,000円は高いなって思ったけれど、すごくよくてもう一個買っちゃいました。
お客様に商品の魅力だけなく、使い勝手の良さやアフターケアをいかに伝えていくか。接客やディスプレイで商品にどれだけ付加価値を付けられるかが勝負です。
高木:「食べる」はシーズン性が出せるので、旬や季節のイベントを販促チームと協力しながら、料理とのイメージ画像を設置しています。

――ニーズを探るヒントはどこから得ているのですか?
高木:私は二十四節気。
木村:僕は社長からもらった生活TIDE。暮らしのトピックスが書いてあるものです。あとはスーパーマーケットや市場からですね。季節毎に食材が変わるじゃないですか。クリスマスからお正月のタイミングで、早変わりを目の当たりのするとうちもやっていきたいなと思います。
――アパレルは52週MDですが、どのスパンで計画を立てていくのですか?
木村:基本は52週で、全体のプロモーションとカテゴリー、さらに細かいカテゴリーに予算をのせています。アパレルはシーズンだと思いますが、212Kは通年が多く10年選手みたいな商品もいっぱい。新たなスターを発掘していくみたいな。あと、メーカーと共同や別注で、212Kオリジナル商品やカラー展開も。この「ののじ キャベツピーラー」もオリジナルですぐに売り切れました。

――定番とシーズンだと比率はどのぐらい?
木村:数を積むのはシーズンですが、8~9割が定番。やっぱり同じものを使い続けたい人が多いんですね。お母さんが使っていて良かったからとか。野球でいったら安定の7番バッター、絶対スタメンから落ちない、212Kとして絶対置いておかないといけない商品があります。
――「作る」と「片づける」は定番・スタメンで、息吹を注入するのが「食べる」ですね
高木:食べる、のところは季節感があり、カラーやデザイン、素材など春夏・秋冬で商品が変わります。
――212Kの絶対ここは負けない、伸ばしていきたいという意気込みを教えてください
木村:自分は店長時代「待ちの姿勢でなく攻めていく」とスタッフに伝えていました。コンサルのように接客していくよって。蝶の様に舞って蜂のように刺すみたいな接客がしやすい(笑)。「自分も使ってよかったんですよ」から会話が始まります。
――お客様を見て、探しているものがわかる?

宮田:だいたい戻ってくるよね。同じコーナーに。
木村:2回来たらチャンス。「接客ができるキッチン雑貨店」が付加価値となります。同じものなら212Kで買おう、ギフトの相談なら212Kと。

高木:私は自分がお店にいた時、お客様が困っていることを聞き出して相談しやすい雰囲気作りを心掛けていました。
木村:顧客様は多く先日惜しくも閉店した店舗でも、15年来のお客様が挨拶にいらしてくださって。
宮田:メインのお客様は毎日料理をする主婦層なので、間口は広く。カジュアルで間口が広いけれど、セレクトされた中からこだわりのものも買えるのが212Kの強みかな。
――212Kならではの審美眼が信頼につながっているのですね
木村:お客様が安心して選べるMD編集力。定番が多い中でも、プロモーションで鮮度を見せる訴求をします。もともとNYのゼイバーズ(ZABAR’S)からインスピレーションを得て212Kができているので、あのようなワクワク感を伝えたいですね。
公式サイトでは21年秋のリニューアル以降、道具の紹介やレシピまで読み物が充実。
https://store.world.co.jp/s/brand/212kitchenstore/
https://www.instagram.com/212_kitchen_store/
――前編取材を終えて キッチンと道具への愛情が溢れた鼎談。後編はバイイングされた商品を店頭とECをつなぎお客様に伝える3名が登場。恵比寿店ではメーカー様と共に取り組んだインスタライブに潜入!お楽しみに(MOVING編集)







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