ーアスプルンド 後編ー 蓄積したノウハウで “新しい時代の少し先” を見据えたライフスタイル提案

先月発行のアスプルンド前編では、グループのリソースを掛け合わせて取り引きを広げる建装部、オフィス部、コントラクト部にインタビューをしました(前編はこちら https://test.world-moving.jp/2023/08/09/asplund1/)後編のテーマは「PRIVATE」。恵比寿のSHOP ASPLUNDで店長、雑貨部、ライフスタイル部の3名に、生活者目線の商品提案を中心にインタビューをしました。

☑ 様々なOEMを手掛けた蓄積が、商品企画に活かされ、循環していく |
☑ 使う毎にその人自身の味に変化する質の高さが、アスプルンドの商品の魅力 |
☑ 雑貨から家具までを作ることができる生産背景とノウハウの強固さ |
他社のインテリアショップやセレクトショップのOEMも手掛ける
―――まずみなさんの業務内容を教えてください
縄野:主にインテリアショップに対するOEMの企画開発を手掛けています。 皆さんが知ってるのは「unico(ウニコ)」さんや「JOURNAL STANDARD FURNITURE(ジャーナルスタンダード ファニチャー)」さんの商品です。

―――他社のインテリアショップのOEMを手掛けることを知らない方も多いと思います
縄野:そうですよね、だから知っていただきたい。ネットでは「Re:CENO(リセノ)」さんや他の担当になりますが「ACTUS(アクタス)」「LIVING HOUSE(リビングハウス)」もお取り引き先です。海外の協力工場を使って輸入し、納めています。先方の図面を元にご希望を伺うだけでなく、図面からアスプルンドで提案をすることも。
―――協力工場はアジアが中心ですか?
縄野:中国、ベトナム、台湾、タイ、インドネシア、マレーシアまでアジアが中心です。コロナを経て今年から足を運べる様になりました。
―――伊藤さんの担当は「雑貨」ですが、こちらも取り引き先と?
伊藤:カタログ商品の営業のほか卸先と企画を組んだり。家具と違うのは雑貨はポップアップやイベントで使われることも多く、シーズンイベントや企画に沿って商品をご案内していきます。

部署全体では「CLASKA(クラスカ)」さんや「TODAY’S SPECIAL(トゥデイズスペシャル)」さんなどもお取り引き先です。OEMも行っていてセレクトショップでは、作家さんのお皿と一緒に置くエプロンやキッチンクロスなどの別注まで幅広く行っています。ネットショップのOEMも担当しており自分の業務では、自社とOEMの割合は半々くらいです。
―――松本店長は店舗での応対が主になると思いますが
松本:法人のお客様、BtoBの対応も各スタッフができるようにしています。アスプルンドの家具をこの広さで揃える店は他にはないので、世界観を発信する店作りという大きな役割を担っています。一般のお客様はやはり家具ですので、一度の来店ではなく2度3度のご来店になります。

SDGsをはじめ、より心地よさを求めるニーズの高まり
―――人流も戻り消費も変化してきました。現在の ニーズとして体感していることは?
松本:元々は個性的で少し尖った品揃えで、著名人やプロユース向けのお客様が、ファッションやアクセサリー感覚でお選びいただいていた。コロナを経て目線が家に行くようになり、素材も一気にレザーからファブリックに変わったり、家でリラックスできる要素が大切に、見た目よりも使い心地が優先される傾向に。あとは郊外の別宅であったり、引っ越しをされる方が増え、サイズが大きなアイテムがたくさん出た印象です。
―――雑貨での変化はありますか?
伊藤:実用性から、生活を彩るものに移行しています。オリーブのカッティングボードなどは食卓を彩るのはもちろん、キッチンを飛び出してインテリアに汎用ができます。イタリアのアルテレニョやドイツのブラシブランド レデッカーはコロナ禍で伸びた商品です。

―――「ホームランド」をはじめとする食器類について、店頭での反応は
松本:海外の方も手に取られ、使い勝手の良さを感じていただいています。
伊藤: 癖がありすぎない、温かみがあるデザインが人気ですね。食器からアスプルンドを知ってもらう方もいらっしゃいます。
―――OEMではどうでしょうか?
縄野:組み替えできるソファに代表されるもの。若い世代も使えるコンパクトなソファの組み合わせや、用途によってラウンジスペースも作れる様な、柔軟に組み合わせができるものがコロナ禍で伸びました。
照明のOEMでは、今まではコンセントを繋いだ照明が主でしたが、ランタンみたいな充電式のテーブルライトも昨年も大きくヒットしました。例えば食事のときはテーブルで使い、ベランダにも移動できるような。家の中をちょっとおしゃれにするニーズですね。

―――今後はどんな変化があると予測しますか?
伊藤:メードインジャパンにこだわった「ホームランド」は、職人の技術と日本のもの作りの背景を伝えながらファンを作りたいと考えています。ずっと右肩上がりで伸びている先ほどのオリーブのまな板やドイツのレデッカーは、SDGsの視点を含んでいて時代に合ったストーリーを持つ商品は売れていくと思います。ドイツではハリネズミは幸運を呼ぶシンボルと言われていて、その想いをドイツから日本に連れて来ています。
松本:家具も二極化していて、アスプルンドはハイエンドの方に近いのですが、それは自然そのままの素材を使う贅沢さなので、今後需要は高まると思います。
縄野:最新の取り組みとしては、ベッドの開発に携わりました。国内のメーカーさんと協力してアスプルンドのオリジナルマットレスを作りました。

縄野:今までアスプルンドとしてベッドのカテゴリーはやっていませんでしたが、恵比寿でトライアルし反応を見ようと。ホテルのベッドはメーカーさんが強いのですが、新しいものを探しているお客様もいらっしゃり、法人向けで引き合いがあります。
―――私達社員が自宅で活かせるような、インテリアアイテムやヒントを教えていただければ

松本:お客様からその様な事を聞かれた時は、ラグを1枚変えたり、クッションをひとつふたつソファに置くなど身近な商品から提案します。大きな家具は入れ替えに勇気も覚悟も時間も必要ですから。植物を入れてもガラッと変わりますね。
伊藤:食器ひとつで人を呼びたくなり、料理をしたくなるきっかけになります。サイズ違いのお皿を重ねて置くだけでも急にレストランの様な演出に。

縄野:照明の開発もやっているのですが、今まではシーリングライトとフロアライトの2パターン位だったのが、メーカーさんと話す中で「間接照明を入れると一気におしゃれになる」と聞いて。自分も家に取り入れました。テレビの後ろで、間接照明で壁側が光るので雰囲気が出る。映画を見ても楽しいし家での時間が変わりますよ。
雑貨から家具まで作るパイプがあることが、アスプルンドの強固さ
―――これからの抱負や行っていきたいことを教えてください
縄野:アスプルンドは様々なOEMを手掛けているからこそ、ノウハウが蓄積できるんですね。やってきたことが、自分の店に活きていくのは嬉しい。様々な工場を知り、繋がると仕事も楽しくなります。
伊藤:雑貨から家具までを作ることができるパイプがあることはアスプルンドの強みですよね。建装が入り一層一気通貫になりました。
家具もそうですが特に雑貨は、各ブランドを全品番置いてもらうことが難しく、一部を切り取られてしまうので、ブランドの持つ世界観が伝えられるショップが自分たちの手元にあることは強みです。このパイプとルートをうまく使って「アスプルンドといえばこれ」というものを作ることができたら嬉しいです。

――― 最後に店長から今後に向けた思いを
松本:届けた状態が、新品で一番綺麗な状態だと、日本の方は思うのですが「使っていくうちにその人の形に合ってくる、傷をつけたりシミになったものが味になって完成され一番いい状態」だと。入社後に聞いてすごくいいなどずっと思っています。加工されたものは、傷がつかない様に丈夫にできていて、でも私たちは贅沢に自然素材そのままを提供できるのが、アスプルンドの強みであり、自分もすごく好きな部分です。
―――使う過程で生まれる味わい、素敵ですね
松本:家具だけでなく、ライフスタイルショップとしての提案ですね。伊藤さんの雑貨、縄野さんのベッドも入り、生活全てが提案できる。永く使ってもらえるようリペアやアフターケアも大切にすることと、資源がなくなってる今、SDGsを実現できるようなシステムも作れたらと感じています。
―――洋服のトレンドと一見すると異なるニーズの様ですが、質や心地よさを求める点は、ファッションとライフスタイル全般に通じることだと感じました。早速“間接照明”から、自宅で取り入れてみようと思います。(MOVING編集)






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