ファッション界のキーマンが語る
“現在と未来、そしてワールドのこと”

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前回に続き、「マーケットの今と未来」そして「ワールドへの想い」をファッション界のキーマンに語っていただきました。後編の今回では、環境省森里川海アンバサダーの佐々木依里さん、PRストラテジストの本田哲也さん、そしてWEBマガジン「HOUYHNHNM 」編集長の小牟田亮さんです。「未来のファッション」、そして「未来のワールド」におけるヒントが隠されているかもしれません。

■佐々木依里さん/モデル・環境省森里川海アンバサダー

PROFILE
ささきえり/環境アクティビスト、瞑想家、モデル、レポーター。11歳で環境活動家を志す。2011年4月から2012年3月まで「朝だ!生です旅サラダ」にて旅ガールズ・マンスリーレポーターとして活動し世界をレポート。2016年11月、環境アクティビストとして、環境省「つなげよう、支えよう森里川海プロジェクト」アンバサダーに任命。ビーチクリーンや講演活動を行い、環境問題を自分ごとに落とし込むライフスタイルや五感で感じる環境問題を発信中。地球愛をベースに平和を伝える環境活動家。

誰のために、何をどのように届けるかを、改めて考えることが必要

――コロナは、ファッション業界にどのような影響を与えたでしょうか?

ファッションの意味を、アパレルにくくらずスタイルや風習など大きな意味でとらえるならば、コロナはファッションの原点を見つめる機会を与えてくれたと思います。自粛が緩和された時、多くの人が、本当に会いたい人とどこでどんな格好で会うか、について考えたはずです。この体験は次の時代のヒントになったと思います。

――コロナによってこれまでにない新しい発見、新しい形は生まれましたか?

環境面でいえば、環境省はライフスタイルシフトをコロナ以前から提案し続けてきたのですが、「環境に配慮した暮らしを実践することに、制限や大変さを感じる」という声もありなかなか進みませんでした。しかしコロナ後は、新しい生活様式や行動変容といった言葉が使われるようになり、社会全体が自発的に行動を変えていく流れが生まれています。これは、コロナ前には考えられなかったことです。

――2021年以降、ファッション界はどのような流れになるでしょうか?大きな変化は起こるのでしょうか?

世界全体の価値観はダイバーシティーに向かっています。多様化に合わせ、ファションの概念、ジェンダーの自由、販売方法、販売周期など、全てにおいて、誰のために何をどんなふうに届けるかを改めて考える必要があると思います。大きな変化で言えば、資本主義的な価値観自体が解体されていくと思います。地球の資源を使って現金化するだけの、循環が生まれないビジネスはいつか限界を迎えます。それによってファッション界も大きな揺さぶりを受けると思います。

――コロナによって働き方が大きく変わったと思いますが、良かった点、悪かった点を教えてください。

コロナ前からリモート会議は海外とのやりとりでよく使用していましたが、コロナ後は日本でも抵抗なく使用されるようになったので、都内在住でない身としては大変助かりました。悪かった点は、コロナ対策で使い捨てのものが一部増えてしまったことですね。仕方ないのですが、心が痛いです。

――あなたにとってワールドとはどのような会社でしょうか?

TWOのプロジェクトに関わらせて頂いています。チャレンジングな部署で、業界では御法度のような競合他社と果敢に関わりを持ち、新しいことができないか、面白いことができないか、もっと未来のため、社会のために役立てるようなことはないかと活動されている姿に胸を打たれました。やはり、会社といえども人が作っているので、人の力が大きいのだと学ばせていただきました。

――あなたが今後ワールドに望むことがあれば教えてください。

私は、ワールドにワールドらしさを期待します。大きな組織だからこそできること、そして新しいファッションの未来を見せて欲しいです。これから、サステナブルやエシカルに時代の舵がきられていきます。そのとき、多くの消費者の方にサステナブルな選択肢が用意されていることが大切なので、是非ワールドらしい選択肢(プロダクト)を消費者の方に届けて欲しいです

■本田哲也さん/PRストラテジスト

PROFILE
ほんだてつや/株式会社本田事務所 代表取締役。「世界でもっとも影響力のあるPRプロフェッショナル300人」にPRWEEK誌によって選出された日本を代表するPR専門家。また世界的なアワード『PRWeek Awards 2015』にて「PR Professional of the Year」を受賞。外務省のアドバイザーやJリーグのマーケティング委員などを歴任し、世界最大の広告祭カンヌライオンズでは、公式スピーカーや審査員を務めている。

株式会社本田事務所 http://hondaoffice.co.jp/

循環型社会におけるサステナブルファッションへの注目が高まるはず

――コロナは、ファッション業界にどのような影響を与えたでしょうか?具体的例などあれば教えてください。

ファッションに限らず、コロナによって人々は「これはエッセンシャルかどうか?」という問いかけを意識するようになりました。ファッションは不要不急なのかどうかという議論も生まれました。そういう意味では、ファッションの本質的な価値を考えるきっかけになったと思います。

――コロナによってこれまでにない新しい発見、新しい形は生まれましたか?

「ソーシャルディスタンス(社会的距離)」がキーワードだと思います。感染防止対策として世界中に知られましたが、そもそもは社会学の言葉。企業やブランドにとっては、「社会の中でどのように自分たちを位置づけるか(何の役に立っているのか?)」という、社会との「間合い」のような新しい意識が生まれていると思います。

――2021年以降、ファッション界はどのような流れになるでしょうか?大きな変化は起こるのでしょうか?

最初の答えにもつながりますが、「エッセンシャル意識」との兼ね合いは引き続くでしょう。先日メルカリが開催した「新作のないファッションショー」が話題になりました。循環型社会におけるサステナブルなファッションへの注目も高まるでしょう。

――コロナによって働き方が大きく変わったと思いますが、良かった点、悪かった点を教えてください

良かった点は、結果的にリモート会議などで効率が良くなったことでしょう。いっぽうで、対面しないと伝わらない「熱量」は共有するのが難しくなりました。PRの仕事では両方とも大事なので、今後はいかに熱量を伝えるかに工夫が必要です。

――あなたにとってワールドとはどのような会社でしょうか?

歴史ある企業であり、数々のブランドはもちろん知っていました。しかし、昨年お仕事をご一緒して、実はまだまだ隠された(世の中に知られていない)強みや素晴らしさがあるとわかりました。まさに、PRによって企業価値を高める余地がまだまだあるのではないでしょうか。

――あなたが今後ワールドに望むことは?

社会が変化するとき、世の中には「新たなパーセプション(認識)」が生まれます。例えば、コロナ禍によって、「病人のもの」だったマスクはファッションアイコンたる認識に変化しました。いっぽうで、私はファッションそれ自体に、パーセプションを変える力、生み出す力があると思っています。ワールドがつくるニューノーマルに期待します。

■小牟田亮さん/HOUYHNHNM 編集長

PROFILE
こむたりょう/1977年生まれ。埼玉県出身。ファッション、カルチャー、ライフスタイルを、“ヒップ”な視点で切り取るWebマガジン『フイナム』の編集長兼、紙媒体『フイナム・アンプラグド』の副編集長。

BLOG:https://b.houyhnhnm.jp/komuta_ryo/

この時代だからこそ、“このお店で買いたい、あの人から買いたい”という動きにも注目したい

――コロナは、ファッション業界にどのような影響を与えたでしょうか?具体的例などあれば教えてください。

容赦のないスクリーニング。“なんとなく”が淘汰されていく時代だと感じます。

――コロナによってこれまでにない新しい発見、新しい形は生まれましたか?

“暇つぶし”の選択肢が飛躍的に増えたように思います。大きくは動画コンテンツと音声コンテンツ。自分はメディアを生業にしているので、流れに置いていかれないように、フットワーク軽く、新しい領域に挑戦していく必要があると思っています。

――2021年以降、ファッション界はどのような流れになるでしょうか?大きな変化は起こるのでしょうか?

オンライン販売はこの先も加速するでしょうが、一方でこのお店で買いたい、あの人から買いたいという動きも見逃せないようになるはず。個人商店、個人ブランド、そういった方向性にフイナムでは注目しています。あとはもともとそういった傾向はありましたが、より一層古着からトレンドが生まれてくるようになると思います。

――コロナによって働き方が大きく変わったと思いますが、良かった点、悪かった点を教えてください

良い点はMTGが効率化できたこと。悪い点は人が集まりづらくなったことで、グルーヴが生まれづらくなったこと

――あなたにとってワールドとはどのような会社でしょうか?

老舗。大手。多数のブランド。個人的にはこれまでそれほどタッチポイントがありませんでした。

――あなたが今後ワールドに望むことは?

上述したような、個人のキャラクターが立ったお店、ブランドの創出

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