ワールドグループ新入社員特集『先輩からのメッセージ』 先輩たちの歩みから、道しるべを見つけて
ワールドグループのWEB社内報MOVINGから、4月に入社する2020年度の新入社員の皆さんに向けたタブロイド版をスペシャル号として発行します。紙面では、ワールドグループの多様な魅力を伝えるメインコンテンツとして、先輩社員へのインタビューを掲載します。WEBも連動し、3月から4月更新でさらに詳しい内容を紹介します。インタビューは、ワールドのノウハウを具現化するベテラン社員、今のワールドグループを形づくるキーマンとも言える中堅社員、そしてこれからのワールドグループをつくる若手メンバーと、3つの世代別に座談会も交えながら行いました。初回は『先輩からのメッセージ』として、㈱ワールドプロダクションパートナーズ パタンナー小林 多栄子さん、㈱ワールドスペースソリューションズ 統括クリエイティブディレクター 丹生 博之さんの二人の先輩社員が歩んできた道をインタビューしています。

㈱ワールドプロダクションパートナーズ パタンナー小林 多栄子さんのインタビューはこちら
ファッションは変化するが、
ワールドのDNAは変わらない
㈱ワールドスペースソリューションズ
統括クリエイティブディレクター
丹生 博之さん(にう・ひろゆき)さん

自ら創造していくワールドの力は不変
芸大のデザイン学科でインテリアデザインを選考していたので、自然と進むのはインテリアデザイン事務所だと考えていた。そのころは服に特別に興味があったわけではなかったし、学生時代からデザイン事務所に出入りをしたり、アルバイトもしていたから。ただその頃、数年前に建ったばかりのワールドの神戸本社の最上階にあったレストラン&バー「V&V(ヴィアンヴィ)」をはじめ、ワールドが展開するブランドを遠くから見て、アパレルでこんなにインパクトのある企業活動を行っているということに興味が沸いた。

当時の「ヴィアンヴィ」は、天井が高く、最上階の26階から見渡す神戸の夜景を活かした、ものすごくカッコいい空間だった。

入社した1987年には、現代建築の巨匠とされているフランク・O・ゲーリー氏の日本で唯一の建造物であるレストラン「フィッシュダンス」をワールドが手掛けたり、大阪・ミナミに、“お客様の魂を揺さぶるような店”を目指し、世界各国からセレクトした雑貨を揃えた「ジ・エンポリアム」を出店するなど、とにかく新たな価値を創り出す活動に社内は満ち溢れていた。

今、このインタビューを受けて改めて思い返すと、当時の社風や志、DNAは現在に脈々と“つながっている”と感じる。先輩達から受け継いだ「チャレンジ・カルチャー」は、自らが創造する力であり、新人たちにも伝えたいことのひとつだ。
北青山ビルの取組みは、アイデアがあれば“誰でも参加できる”

メモ魔で、いつでも気付いたコトをiPhoneに書き溜めておく。もう、すごい量。思いつきを一言だけとか、使わないものも、忘れてしまうものもあるけれど、自分が面白いと感じることを、とにかくどんどん溜めていく。ストックがないとひらめきに結びつかないし、興味が無いと創造ができないから。その中には、仕事につなげるために、「少しお話を聞かせてもらえませんか?」と初対面で連絡を取ることもある。

一つ例を挙げると、昨年秋、ワールド北青山ビルで行った「246st MARKET(ニイヨンロク ストリートマーケット)」で起用した建築家 百枝 優(ももえだ・ゆう)氏については、以前から九州を中心に活動し、地域の家具メーカーなどと共同体を創り、社会性のあるプロダクトデザインに注目をしていた。

「246マーケット」は若手クリエーターを中心とした、D to C(ダイレクト トゥ コンシューマー)ブランドを集積させる場であり、百枝氏のデザインとどう化学変化が起こせるか、面白い実験の場になると考えた。百枝氏が「246マーケット」のためにデザインしたリユース可能な什器は、屏風型の側板とフレキシブルな棚板の組み合わせでできており、端材を出さない工夫でサステナブルを実現。来場したディベロッパー様からも評価いただき、今後ポップアップの展開も決まっている。

ワールド北青山ビルでの活動は、グループを挙げたインキュベーション活動として、幾つかの役割がある。社会に向けてワールドグループの考え方を伝える場であることと、もっと身近には、246(国道246号、青山通り)に面した立地ならではの地域への貢献で、プロジェクションマッピングやダンス保育園もこの類に入るだろう。利害関係がない複数の要素が交差していく活動であるし、また、若いクリエーターの育成の場でもあり、前面がガラス張りというオープンな空間も活かして、様々な式典も行える。これらの活動は、決して担っているひとつの部門で行なうものではなく、アイデアがあれば、誰でもが参加できるし、関わってもらいたい。そしてこの活動は、現在はワールド北青山ビルが発信の場となるが、今にはじまったことではなく、冒頭に話したように、ワールドグループでは自分が入社した以前から行っていた。時代背景と手法が変わるだけで、インキュベーション活動は、ワールドグループが持っているDNAそのものだといえる。
クリエイティブこそ、仮説・実行・検証・修正のスパイラルで
空間設計もそうだが、様々なデザインは、今どう使うかだけを考えるのではなく、“継続させる活動”であることが大事。次につなげることはもちろん、今の社会とつながることだ。単に「あぁ、カッコいいものができましたね」と一発屋ではいけないし、一方的でもいけない。
たとえばブランドロゴは、何気なく定番に感じるものでも、フォントを変えたりほんの少し細くするなどして、“今、いちばんいい”ものに変えていくことが、クリエーション活動だ。ファッションビジネスは変わっていかなければいけないもの。古いものを見ながら、常に今に統合をしていく。

自分は入社してから、自ら図面をひく建築デザインのプレーヤーだったが、今はディレクターとして、それぞれの取組み毎に、キャスティングをする役割だ。キャスティングはフェーズによって組み直す必要があり、これから時代を創っていく人とマッチングをさせなければならない。それには、様々な人に相談したり、デザイン業界のキーマンに会いアイデアをもらうこともある。そして、場面場面によって役者を変えることも大事。たとえば、新しい事業の最初の店作りでは、ブランディングを集約させた店作りを、そののち、多店舗展開していくときには、異なる人材に依頼し汎用性のある設計にするなど、創る人、伸ばす人とまるでビリヤードのように、フェーズ毎に組み立て、そこに様々なクリエーターをマッチングしていくのが我々の役割だと思っているし、ワールドというのはそういうことができる会社だと思っている。

ブランド開発の蓄積があるから、外販で力を発揮できる
100を優に超えるブランド開発をしてきたワールドグループは、成功した事業はもちろん、失敗からも、着実にノウハウが蓄積されてきた。なぜなら、自分たちの事業でありブランドだから、正に自分ごととして、コンセプトを丁寧につくり、店を出し、成長させようと向き合い、とにかく努力をしてきた。今後この規模でブランド開発ができる企業はまず無いだろうし、経験値として非常に稀有なものだと思う。
今、プラットフォーム事業として、様々な他社企業のブランディングやデザイン活動のお手伝いをしているが、外の方と仕事をすると、我々のノウハウの蓄積はやはり価値があるのだと気付かされる。その上で大切にしているのは、これまでやってきた、自分たちのブランドを育てることと同じ、まさに自分ごととして取り組むこと。一緒になって創り上げ、信頼関係を築くことだ。
今、洋菓子を主力とする大手食品メーカー様とブランディング活動を行っている。最初は新業態の開発、空間設計、パッケージデザインから始まり、イートインのメニュー開発まで、幅広く携わらせてもらっており、今後も広がりそうだ。ブランディングの根幹は、ファッションも異業種も同じ。やっぱり「哲学」があると一本筋が通って、店や商品の魅力がお客様に伝わりやすくなる。だから、手掛ける先様ごとの、会社の歩み、カルチャー、立地、扱う商品、更に隠された事柄までを深堀りして、それら全てからブランディングを組み立てていく。ブランドらしさは「よさ」であり、それはすごく単純なことでもある。たとえばその洋菓子ブランドであれば「いいものを安く」。これだけで、みんなの目指すところが明確になるし、お客様にも伝わる。そして我々は、その掘り下げた企業の魅力を、制作物やデザインの隅々に落とし込んでいく。店作りでは、その土地の土の色や木材を随所に取り入れ、空間を創り上げる。外販事業は取引先様から学ぶことや刺激も多く、出会いからステップを踏んで成長をさせていく作業は業界を超えて行え、可能性を感じる。
自分のやり方で、情報を集めて考え、次に進める社会人になって欲しい
今は、もうスマホで、いつでも何でも情報が拾える時代。情報量という意味では溢れている。例えば何かをプレゼンするとなると、それらの情報を集めるだけで誰でもが、ある程度いい線まできれいに話せると思う。けれど、ネットが無い時代と満足度という意味で変わらないのは何故なんだろう。出合ったモノと、一対一で向き合ったり、信頼できる誰かから薦められて、「これがいいんだ」と確信していけたんじゃないかな。やっぱり、実際に“試す”ことで、本当にどうなのか、必要なものか、要らないのかとモノやコトの核心に迫れる。だから、集めた情報から次に進められるかどうかだと思う。 たとえば、ある店を見に行く。思ったより駅から遠いなとか、行く途中に雨が降ってきたとか、自分の目で見て街を歩く、そして、音、匂いを総合的に感じる。到着したらどんな空間でどう感じたか。特に自分が行っている空間デザインというのは、その場に入って理解をするものだから、本当にどうなのかと総合的な体感を重ねていって欲しい。そして、そこに更に人と関わることで、新たな価値も生まれていくのだと思う。

<Profile>1987年入社。神戸本社で装工部に配属。専門店様に向けたオンリーショップなどの店舗設計を経て、サービス部、(株)ワールドヴィジュアルティー・シー・シー・で空間設計を手掛ける。1996年には当時駅立地において初となるアパレル業態、渋谷・東急東横「インデックス」を、1998年には編集型大型ストアの先駆け「オペーク」の設計企画を。2000年からは新規事業の開発に携わり、現在はクリエイティブ人材のディレクションのほか、ワールドグループのノウハウを活かした外販事業でプロデュースを手掛ける。






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