ワールドグループ新入社員特集『先輩からのメッセージ』 先輩たちの歩みから、道しるべを見つけて~part1~
ワールドグループのWEB社内報MOVINGから、4月に入社する2020年度の新入社員の皆さんに向けたタブロイド版をスペシャル号として発行します。紙面では、ワールドグループの多様な魅力を伝えるメインコンテンツとして、先輩社員へのインタビューを掲載します。WEBも連動し、3月から4月更新でさらに詳しい内容を紹介します。
インタビューは、ワールドのノウハウを具現化するベテラン社員、今のワールドグループを形づくるキーマンとも言える中堅社員、そしてこれからのワールドグループをつくる若手メンバーと、3つの世代別に座談会も交えながら行いました。
㈱ワールドスペースソリューションズ 統括クリエイティブディレクター 丹生 博之さんのインタビューはこちら

初回は『先輩からのメッセージ』として、㈱ワールドプロダクションパートナーズ パタンナー小林 多栄子さん、㈱ワールドスペースソリューションズ 統括クリエイティブディレクター 丹生 博之さんの二人の先輩社員が歩んできた道をインタビューしています。
憧れの先輩たちの背中を見て
成長してきた
㈱ワールドプロダクションパートナーズ パタンナー
小林 多栄子(こばやし・たえこ)さん

衝撃的にかっこ良いチーフに出会い、
デザイナー志望からパタンナーに
母が趣味で洋裁をやっていたので、家にミシンがあり、生地や端切れがたくさんある環境で育ちました。子供のころから、家にあった洋裁の雑誌に載っている型紙を小さなパターンに作り変えて、お人形の服を作ったりしていたので自ずとファッションの道へ進みました。専門学校時代は絵を描くのが好きだったので、デザイナー志望。どちらかというと、パタンナーには地味な印象を持っていました。

ところが、3年生の夏、ワールドに企業研修(インターンシップ)に来て、衝撃的にかっこいい「コルディア」のチーフパタンナーに出会ってしまった。あぁ、こんなに素敵なパタンナーがいるんだなって。着こなし、働いている姿、全てが素敵だった。
入社試験は3日間に分けて行われ、デザイン画とトワル組みの実技もありました。面接官は当時専門職の憧れの、「ゼルビナ」の川北コーディネーターで、またこの方が毒舌家で(笑)。その頃、雑誌『anan』で「おしゃれなデザイナーが通う神戸のバー」なんかで紹介されていたりして、もうほんとに憧れの存在だった。面接ではまず、「キミ、昨日と同じ服やね」と言われて。その時は面接に着て行く服なんてそんなに持っていなかったし、自分で作ったすごくお気に入りの服だったの。良かれと思って着て行ったのだけれど、言われた瞬間「あーー落ちたっ!」って。デザイナー志望としては、そういう所も見られているんだなと。そのあと、「キミ、絵はお上手やね」って言われた。「絵はうまい」ということは、デザインができているわけじゃないのだなって自分で解釈したの。だから最終的にはパタンナーを志しました。ちなみに、川北コーディネーターとは今も交流があって、年1回、「ゼルビナ会」で当時のメンバーが集まっています。

ワールド以外にも大阪にある会社に企業研修に行ったけれど、どんな会社だったかほとんど記憶になくて。それくらいワールドは、最初からすごく衝撃的で印象に残っていた。まだ新しいポートアイランドの社屋に入って、エレベーターに乗ると、研修に来た学生にも社員が皆「いらっしゃいませ!」って元気に声を掛けてくれる。とにかく洗練されていて、すごく明るくて、活力に満ち溢れていたから、「あぁ、ここで働きたいな」って。
先輩の背中を見て、必死に成長を重ねた新人時代
入社後、夢が叶って、第一希望でありテイストも大好きだったブランド「ゼルビナ」に配属されました。今になって思い返すと、20代の頃は作りたいものを表現する技術がまだまだ足りなかったのだけれど、当時はもうとにかく目の前の仕事に必死で、時間をかけて向き合っていきました。


3年後には、アッパーブランド「ビルダジュール」に異動。3年目でも、もう普通にパターンメイキングの型数が与えられたんです。当時の「ビルダジュール」は、皿田さんというものすごく美人のデザイナーさんがいらっしゃって、とにかくこの方、自分の美貌への追求も、商品の完成度へ追求も半端なくて。トワルも絶対美しく、かっこよくないといけないんです!先輩たちはそれは素敵なトワルを作るわけですよ。実力のある方は努力も惜しまないんです。そういうのを見ていたら、それが基準になるんですね。とにかくデザイナーのイメージをしっかり頭に描いてそれを表現しないとOKはもらえないから、とにかく時間がかかってもやるしかないと。「なんかちょっとアヤシいけど、なんとかOKもらえないかな」なんて甘い気持ちで見せたトワルは、やっぱりOKがもらえないんです。「コレだ!」と納得がいくまで仕上げることの大切さは、この時期に学びました。
でも、たとえせっかくパターンを作ったデザインが没になっても、そこから学ぶことはたくさんあって、失敗は決して無駄ではないと、それは今でも思っています。後輩のパタンナーが、「せっかく作ったのに上手く行かなかった」と落ち込んでいる時には、「1型懸命にやり終えたら、その努力は必ず自分の力になっている」と励ますの。仕事は、自分にごまかしの無い所までやるのが大事、ずっとそう思っています。

「ビルダジュール」ではシックなジャケットが花形でね、ブランドの顔だったしみんなジャケットのパターンをひきたいんですよ。でもテーラードジャケットが上手な先輩がいて、自分はパンツやブルゾンのようなカジュアルなジャケットしかひかせてもらえなかった。でも与えられたものは思いっきりやろうと、担当アイテムに全力で取り組んだのです。
そしてテンセル素材の最盛期がやって来て、「ビルダジュール」ではカジュアルなアイテムを物凄く販売しましたね。今になって、カジュアルと正面から向き合ったことがその後様々なブランドのパターンメイクを行う上でとても役に立っています。何でも一生懸命やって良かったなと思います。
チームが一体となって取り組んだ仕事は
自分の糧に

20代の頃、印象に残っている仕事は、「ゼルビナ」での東京コレクションの準備。神戸から、当時東京店があった麹町四番町に出張して、1週間かけてブランドの皆で準備をしました。思い出すのは、コレクションにサンプルが間に合わない!とかそんな緊急事態ばかりだけれど(笑)。たとえば、当時は展示会サンプルを東京コレクション用にアレンジしてショーに出していたから、モデルの身長に合わせて仕立て直す時にトラブルが起こって、先輩に叱咤されたりとか。でも、苦労したサンプルがランウエイに登場した時には、嬉しくてもう涙が出そうになるの。この前、当時のワールド西麻布ビルの前でコレクション終了後に撮った写真が出てきました。ビルの入口で皆「ゼルビナ」の服を着て撮影したもの。どの仕事もそうだけれど、イベントやオープンに向けて、皆で準備をして、無事に終えたチーム全員での達成感は、やっぱり自分の糧になる。その頃、一緒に汗を流した仲間は一生の宝だと思っています。

いろいろな事業や会社のパターンを手がけて、広がること
東京に転勤したのは、ちょうど「モデリスタ部」として、ワールド内のパタンナーの技術を集約した時期。それから、これまで経験のない様々なブランド、アイテムを手掛けることになります。スポーツライフスタイルブランド「アニマ」の立ち上げでは、まったく初めてのヨガやランニングウエアのパターンを手がけました。その後は、ワールド内のブランド支援に加えて、外販事業として他社ブランドのパターンも手掛けました。「アカチャンホンポ」様のOEMでマタニティウエアを開発したときは、社内に資料もノウハウも無い中で、マタニティウエアから出産後に赤ちゃんを抱っこしながら着られる服まで、ファッション性にお母さんの細やかな動きを追求した機能性を兼ね備えたパターンを提案しました。

最近では、「アンタイトル」が提供した日本代表女子バスケットボール「アカツキファイブ」の選手のスーツを手掛けました。スポーツ選手は身長も大きく、肩幅も広いなど、個々に対応する大変さと同時にやりがいも大きいです。また、外販事業では、その企業ごとのカラーも体感できる。大手通販メーカー様との仕事では、上等なダウンコートをたった一型で18,000枚も販売する営業力に感服しました。お客様にそのコートの魅力を伝えるため、とにかくモノづくりの背景を細かくヒアリングされる。どういった工場で、どのようなミシンを何台使って縫製するとか、それらは全部、接客する時にセールストークにするんです。凄いですよね。外販の仕事はグループにとって事業の拡大はもちろん、学びのチャンスだと捉えています。
これからは、自分の技術を
ファッションとして
“社会のためになること”で貢献したい
入社からこれまで、ずっとパタンナーをやっていて、複数のブランドでの経験と同時にアパレルメーカーに身を置くことで、ファッショントレンドの大きな流れも体感して来ました。どんどん商品が売れて、会社が成長をするがむしゃらな時代も経験してきたし、それはワールドだけでなく、社会全体がそうだった。これからは、たとえばこの前、ワールド北青山ビルで行われた「みなとコオフク塾」の取り組みのように、障がいのある方が着る服のためのパターンや、環境問題などサステナビリティな社会の実現に向けて、私の経験やノウハウを役立てられることにも携わりたいと考えています。そういう意味でも、ワールドグループも創業から60年を越えて、ファッション業界でもっともっと役割を見出していけると思うんです。

よく「落ち込むことはあるか」と聞かれるけれど、あんまり無くて(笑)、逆に後輩達からは「話をするとパワーをもらいます!」と言ってもらっています。今、こうして振り返ると、仕事をずっと楽しんでやって来られたのは、やっぱり周りの人に恵まれていたのだと感じます。新入社員の皆さんにも、ワールドグループでの仕事は「楽しい」と思って欲しいし、私自身が背中を見ていた先輩たちに少しでも近づければよいなと思っています。

<Profile>1987年入社。神戸本社にDCブランド「ゼルビナ」のパタンナーとして配属。 アッパーブランド「ビルダジュール」で経験を積み、「インテレクション」のチーフを経て、モデリスタ部へ。その後、東京に転勤し、スポーツライフスタイルブランド「アニマ」の立ち上げなどを経験。ブランド支援のほか、外販事業で他社企画にも携わる。






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